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モンステラ・アダンソニー(マドカズラ)|特徴・育て方・品種を解説
植物図鑑

モンステラ・アダンソニー(マドカズラ)|特徴・育て方・品種を解説

by tokyoplants 編集部

モンステラ・アダンソニー(Monstera adansonii)は、メキシコ〜ブラジルにかけての中南米熱帯雨林に広く自生するサトイモ科の蔓性着生植物である。日本では「マドカズラ(窓葛)」の和名で古くから親しまれており、葉の内部に開く**楕円形の穴(フェネストレーション)**が「窓」に見立てられた。

デリシオーサが大型の存在感型とすれば、アダンソニーは小さな穴あき葉を連ねる繊細な美しさと高い可塑性が持ち味だ。ハンギング・支柱・トレリスと飾り方の幅が広く、成長が非常に速いため変化を楽しみながら育てられる。初心者からコレクターまで幅広い層に愛される品種である。


結論

  1. 穴を大きく・多く出すには「明るい間接光 + 支柱への着生」がセット。 穴は成熟するほど大きく増えるため、光量と着生環境が成熟を左右する最重要ポイント。
  2. 成長が非常に速いため、1年に1回の植え替えと定期的な切り戻しが必要。 放置するとつるが暴れて見た目が崩れやすく、根詰まりによって穴が小さくなる。
  3. 水挿しで簡単に増やせる。 1節あれば2〜3週間で発根するため、剪定のたびに増やせる。初心者の入門種として最適。

基本情報

項目 内容
学名 Monstera adansonii Schott
英名 Swiss Cheese Vine / Five Holes Plant
和名 マドカズラ(窓葛)
科名 サトイモ科(Araceae)
属名 モンステラ属(Monstera
原産地 中南米の熱帯雨林(メキシコ〜ブラジル)
生育型 常緑つる性(半着生)
耐寒温度 5℃以上
草丈 蔓性・成長すると2m以上
難易度 初心者〜中級者向け

葉の穴——アダンソニーとデリシオーサの違い

モンステラ属の2大種として並び称されるアダンソニーとデリシオーサだが、葉の形には根本的な違いがある。

デリシオーサ: 葉の「切れ込み(スリット)」と「穴(フェネストレーション)」の両方を持つ。葉縁から内部まで切れ込んでいるため、成熟した葉はギザギザしたシルエットになる。

アダンソニー: 「穴(フェネストレーション)」が主体で、葉縁には切れ込みが入らない。楕円形の穴が葉の内部に開き、葉の外形は比較的シンプルなハート〜卵形を保つ。この穴が「窓(マド)」のように見えることから和名「マドカズラ」が付いた。

この違いが生じる理由は成長速度と葉サイズに関連する。アダンソニーはデリシオーサより葉が小さく(通常10〜25cm)、切れ込みを入れる「余裕」がない代わりに、穴を開けることで光分散の効果を得ていると考えられている。


主な品種・フォーム

ナローフォーム

細長い葉に比較的小さな穴が整列する。最も流通量が多く、マドカズラとして一般的に流通するのはこのタイプ。

ワイドフォーム

幅広の葉に大きな穴が入るタイプ。ナローフォームより希少で、葉の迫力がある。穴の数も多く、成熟株は特に見応えがある。

斑入り(アルボバリエガタ)

白斑が入る変異個体。近年急激に人気・価格ともに上昇しており、入手困難になりつつある。斑入り個体は光量が多く必要で、管理難易度が上がる。成長はやや遅い。

ミント斑(ミントアダンソニー)

白に近いミントグリーンの細かい散り斑が入る。タイコンステレーション(デリシオーサ)のアダンソニー版とも言える存在。組織培養による安定供給が始まっており、入手しやすくなってきている。

ラニアータ

アダンソニーの変種として扱われることが多い近縁種。葉がやや大型化し、穴も大きい。ワイドフォームと混同されやすい。


アダンソニーとデリシオーサの比較

項目 アダンソニー デリシオーサ
葉の形 穴のみ(切れ込みなし) 切れ込み+穴
葉のサイズ 小〜中型(10〜25cm) 大型(最大90cm)
成長速度 非常に速い 速い
仕立て向き ハンギング・支柱・トレリス 支柱・フロア置き
省スペース性 高い 低い(大型化)
難易度 初心者向け 初心者向け
入手しやすさ 容易 容易

育て方のポイント

光(置き場所)

明るい間接光が最適。耐陰性はデリシオーサより高く、北向き窓でも育つが、光量が足りないと穴が少なく小さくなり、節間が伸びて徒長する。

穴の多い美しい葉を育てるには、レースカーテン越しの明るい光が必要。 光量が増えると穴の数と大きさが明らかに変わる。

直射日光は薄い葉を焼くため避ける。東〜南向きのレースカーテン越しか、育成ライトの補助が有効。

温度

生育適温は20〜30℃。高温多湿を好み、梅雨〜夏に最も活発に成長する。5℃以下で障害が出るが、室内管理であれば冬越しは難しくない。冬季は10℃以上を維持する。

水やり

成長期は土の表面が乾いたらたっぷり与える。デリシオーサより葉が薄く蒸散量が多いため、水切れに注意が必要。特にハンギング管理の場合、小さな鉢はすぐに乾くため頻繁な確認が必要。

冬季は土が乾いてから2〜3日後に与える。過湿による根腐れより水切れのほうが多いトラブルの原因になる。

湿度

60%以上が理想。高湿度で葉のツヤと成長速度が向上する。乾燥した環境では葉先が茶色くなりやすい。加湿器か葉水で補う。

用土

排水性と保水性のバランスが取れた配合が適する。おすすめ配合: 赤玉土4:パーライト2:腐葉土2:バーク堆肥2。市販の観葉植物用土で問題ないが、保水性が高い場合はパーライトを追加する。

仕立て方

ハンギング(最もポピュラー): つるを垂らして飾る。穴の開いた葉が連なるカスケード状の姿が美しい。ただし穴の大きさはハンギングより支柱仕立ての方が大きくなりやすい。

支柱仕立て(穴を大きくしたい場合): モスポールやヘゴ棒に誘引すると、葉が大型化し穴も増える。気根を着生させることで成熟が促進される。

トレリス・ワイヤー: 窓辺にワイヤーやトレリスを設置し、カーテン状に仕立てる方法。省スペースで存在感を出せる。

肥料

成長が速いため、月1〜2回の液体肥料か、2〜3ヶ月に1回の緩効性肥料が有効。デリシオーサよりやや多めの施肥でも問題ない。成長期に肥料が不足すると穴が小さくなりやすい。冬季は施肥不要。

植え替え

成長が非常に速いため、1年に1回の植え替えが理想。 5〜6月が適期。根が鉢底から出ていたり、土の表面に根が見えてきたら植え替えのサイン。根詰まりが続くと葉が小さくなり、穴も少なくなる。


増やし方

水挿し(最も簡単)

  1. つるを2〜3節でカット(下の節に気根があると発根しやすい)
  2. 下の葉を取り除き、コップや花瓶に水を入れて挿す
  3. 明るい日陰に置き、水は2〜3日ごとに交換する
  4. 1〜3週間で発根(暖かい時期の方が速い)
  5. 根が5cm以上になったら土に植え替える

モンステラの中でも発根率が高く、挿し木を試したことがない初心者でも高確率で成功する。剪定のたびに増やすことができる。

挿し木

挿し穂を直接湿らせた土に挿す方法。水挿しより少し手間はかかるが、土への植え替えが不要な分、定着が速い場合もある。


よくあるトラブル

葉に穴が開かない・少ない

原因: 光量不足(最多)か、株が幼すぎる段階。または支柱なしでハンギングのみの場合。

対処: 明るい間接光の場所に移動する。支柱を立てて上に伸ばすことで成熟が促進される。幼株では穴が少ないのは正常で、成熟すれば穴が増えていく。

葉が黄色くなる

原因: 過湿による根腐れ(最多)、根詰まり、低温ストレス。

対処: 土の乾燥具合を確認し、過湿の場合は水やりを減らす。1年以上植え替えていない場合は根詰まりの可能性があるため、5〜6月に植え替えを行う。

つるが暴れて樹形が崩れる

原因: 成長期の旺盛な成長によるもの。適切な管理。

対処: 定期的に切り戻し、支柱やトレリスに誘引して整える。切り戻したつるは水挿しで増やせる。

葉先が茶色くなる

症状: 葉先だけが茶変して枯れる。

原因: 乾燥(空気の乾燥または水不足)。エアコンの直風が当たっている場合も同様の症状が出る。

対処: 葉水と適切な水やりで対処。エアコンの向きを変えるか、株の場所を変える。


まとめ

  1. 穴の多い美しい葉を育てるには、明るい間接光と支柱への着生が欠かせない。 この2条件が揃えば、アダンソニー本来の穴あきフォルムが最大限に発揮される。
  2. 水挿しで簡単に増やせることが最大の強みのひとつ。 剪定と増殖を繰り返すことで、常に若くフレッシュな株を楽しめる。
  3. 成長が速いため、定期的な植え替えと切り戻しを習慣に。 年1回の植え替えと適切な剪定が、美しい株を長期間維持する鍵となる。

モンステラ・アダンソニーは、「育てやすさと多様な飾り方」「速い成長による変化の楽しさ」「増やしやすさ」が三位一体となった、観葉植物入門に最適な一株である。

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