テラリウム向き観葉植物10選|小型で多湿に強い
Contentsこの記事の内容15項目
テラリウムで失敗する最大の原因は、育て方ではなく植物の選定です。乾燥を好む植物を密閉容器に入れれば腐りますし、大きくなる植物を入れれば数ヶ月でガラスにぶつかります。
この記事では、「小型のまま維持できること」「高湿度に耐えること」「入手しやすいこと」の3条件で絞った10種を紹介します。すべて図鑑ページがあるので、気になった種はそのまま詳細に進めます。
- サイズ
- 草丈・葉張りが30cm以下で維持できる
- 湿度耐性
- 湿度60%以上でも傷まない
- 成長速度
- 切り戻しで形を保てる
- 光
- 直射なしの弱〜中光量で育つ
- 入手性
- 園芸店・通販で現実的に手に入る
結論:10種の早見表
| 植物 | 学名 | サイズ感 | 必要湿度 | 向く容器 |
|---|---|---|---|---|
| フィットニア | Fittonia albivenis | 草丈10〜20cm | 60%以上 | 密閉・半密閉 |
| アグラオネマ・ピクタム | Aglaonema pictum | 草丈30〜60cm | 60〜80% | 密閉・半密閉 |
| レックスベゴニア | Begonia rex | 草丈20〜40cm | 50〜70% | 半密閉(葉は濡らさない) |
| ベゴニア・パボニナ | Begonia pavonina | 草丈20〜40cm | 80〜90% | 密閉(25℃以下必須) |
| アジアンタム | Adiantum raddianum 他 | 草丈20〜40cm | 60〜70%以上 | 密閉・半密閉 |
| ネフロレピス | Nephrolepis exaltata | 品種により20cm〜 | 60%以上 | 半密閉 |
| フィカス・プミラ | Ficus pumila | 匍匐・葉1〜2cm | 60〜80% | 密閉・半密閉 |
| ペペロミア・カペラータ | Peperomia caperata | 草丈10〜20cm | 40〜60% | 開放・半密閉 |
| シンゴニウム | Syngonium podophyllum | つる性 | 50〜70% | 半密閉 |
| スキンダプサス・ピクタス | Scindapsus pictus | つる性 | 50〜70% | 半密閉 |
容器タイプの違い(密閉型・半密閉型・開放型)については植物テラリウムの作り方|容器選びと植え込みで解説しています。

表の「必要湿度」は下限の目安だよ。これより低いと傷むという線であって、高ければ高いほど良いという意味じゃない。とくにベゴニアのように葉面の水滴を嫌う種もあるから、湿度と葉の濡れは別物として扱ってね。
1. フィットニア(アミメグサ)
学名:Fittonia albivenis(キツネノマゴ科)
テラリウム植物の代表格です。葉脈が白・ピンク・赤に浮き出る模様が美しく、草丈も10〜20cm程度で収まります。
最大の長所は、鉢植えでは欠点になる性質が、テラリウムでは一切問題にならないことです。フィットニアは少し乾くとすぐ全体がしおれるため、通常の管理では扱いにくい植物ですが、湿度が保たれた容器内ではこのリスクが消えます。生育適温は18〜28℃、15℃以上を推奨。湿度は60%以上が目安です。
伸びすぎたら摘芯でき、切った茎は節から発根するため、そのまま容器内で増やせます。
→ 詳細:フィットニア(アミメグサ)の育て方/土の配合はフィットニアの土の選び方
2. アグラオネマ・ピクタム
学名:Aglaonema pictum(サトイモ科)
迷彩模様の濃淡が株ごとに違う、パルダリウムの定番種です。模様のコントラストは湿度と光量に依存し、60〜80%の高湿度環境でこそ本来の美しさが出ます。乾燥した室内では葉先が傷み、模様も鈍ります。
適温は22〜28℃、15℃を下回ると生育が止まります。草丈は30〜60cmになるため、容器は高さに余裕のあるものを選んでください。大きく育つと一般的なテラリウム容器では収まらなくなるので、小型の個体を選ぶか、生長に応じて鉢上げに切り替える前提で迎えるのが現実的です。
3. レックスベゴニア
学名:Begonia rex(シュウカイドウ科)
メタリックな光沢と複雑な模様をもつ葉が主役になります。湿度は50〜70%が目安で、テラリウム環境と相性が良い一方、葉面に水滴が残ることを極端に嫌うという特徴があります。
そのため、密閉型でガラスから水滴がポタポタ落ちる位置に置くのは避け、半密閉型で換気を確保した構成が向きます。霧吹きも葉には直接かけず、空間や壁面に向けて噴霧してください。適温18〜28℃、最低10℃です。
→ 詳細:ベゴニア・レックスの育て方/土はベゴニアの土の選び方
4. ベゴニア・パボニナ
学名:Begonia pavonina(シュウカイドウ科)
光の当たる角度で葉が青く輝く、構造色をもつ希少種です。この10種のなかでは最も難易度が高く、テラリウムが事実上必須の植物です。
マレー半島の標高1,000〜1,400mにある涼しい山岳雨林の林床に自生し、栽培では18〜25℃・湿度80〜90%を要求します。30℃を超えると葉が急激に弱るため、日本の夏は冷房の効いた涼しい部屋でテラリウム管理する以外に現実的な選択肢がありません。一般的な観葉植物とは逆に、夏が最大の山場になる植物です。
低温と高湿度を同時に満たせる環境が作れるなら、他に代えがたい美しさがあります。
→ 詳細:ベゴニア・パボニナの育て方
5. アジアンタム
学名:Adiantum raddianum など(イノモトソウ科)
繊細な小葉が風に揺れるシダで、テラリウムに「軽さ」を足したいときに使えます。属名の Adiantum はギリシャ語の「濡れない」に由来しますが、栽培上は正反対に、乾燥させた瞬間に小葉がチリチリに枯れるのが最大の弱点です。
目安として60〜70%以上の湿度が必要で、一般的な室内では維持が難しい数字です。逆に言えば、テラリウムはアジアンタムにとって理想的な環境になります。枯れた小葉は戻らないため、傷んだら思い切って刈り込み、新芽の展開を待つのが早道です。
6. ネフロレピス(タマシダ)
学名:Nephrolepis exaltata(ツルシダ科)
ボストンファンの名で知られるシダです。標準種は大きく育つため、テラリウムには'ダッフィー'のような小型・コンパクト系の品種を選んでください。丸みのある小葉が密につき、こんもりとしたボリュームが出ます。
耐寒温度は10℃以上。シダ類全般と同じく葉先枯れの主因は空気の乾燥で、土よりも湿度の管理が成否を分けます。アジアンタムより乾燥耐性は高く、半密閉型でも維持しやすい種です。
→ 詳細:ネフロレピス(タマシダ)の育て方
7. フィカス・プミラ(オオイタビ)
学名:Ficus pumila(クワ科)
テラリウム・パルダリウムの内壁を緑で覆う役として、これ以上に適した植物はなかなかありません。茎の節から気根を出し、ガラス面・コルク・ヘゴ板に密着しながら広がります。
湿度は60〜80%が目安。乾燥すると気根が機能を失って着生面から剥がれ、葉も縮むため、高湿度環境が前提になります。誘引初期に茎を壁面へ固定しておくと、気根の密着が早まります。
成長が旺盛なので、放置すると容器内を覆い尽くします。定期的な切り戻しが必要ですが、挿し木の成功率も高く、増やしながら形を整えられます。
→ 詳細:フィカス・プミラの育て方
8. ペペロミア・カペラータ
学名:Peperomia caperata(コショウ科)
深い皺が入った葉が特徴で、草丈10〜20cmとテラリウム向きのサイズです。ただしこの10種のなかでは例外的に、高湿度を必要としない種でもあります。40〜60%の一般的な室内湿度で十分育ち、葉がやや多肉質で水分を蓄えられるため、過湿にはむしろ弱い性質があります。
そのため、密閉型よりも開放型・半密閉型で使うのが適しています。他の多湿植物と同居させる場合は、容器内の高い位置(結露の影響が少ない場所)に配置すると安定します。適温15〜30℃、10℃以下で生育が止まります。
→ 詳細:ペペロミア・カペラータの育て方/土はペペロミアの土の選び方
9. シンゴニウム
学名:Syngonium podophyllum(サトイモ科)
矢じり形の葉をもつつる性植物で、ピンク・白斑・ライム系など品種が豊富です。湿度50〜70%で育ち、高湿度のほうが成長は旺盛になります。最低13℃以上、適温15〜30℃と耐性の幅が広く、扱いやすい部類です。
つる性のため、容器内で支柱や流木に絡ませる立体的な使い方ができます。成長が速いので、定期的な切り戻しを前提に。無機培地との相性も良く、パルダリウムの植栽層にそのまま植え込めます。
→ 詳細:シンゴニウムの育て方/初心者向けガイド
10. スキンダプサス・ピクタス
学名:Scindapsus pictus(サトイモ科)
銀色の斑が散る厚みのある葉をもつつる性植物です。湿度50〜70%が適し、40%以下が続くと葉先が傷みます。最低13℃以上、適温18〜28℃。
ポトスに似た扱いやすさがありながら、葉の質感に高級感があり、パルダリウムの壁面を這わせる使い方で映えます。茎挿しで簡単に増え、25℃前後なら2〜4週間で発根します。
→ 詳細:スキンダプサス・ピクタスの育て方/土はスキンダプサスの土の選び方
容器タイプ別の組み合わせ例
密閉型(湿度80%以上)
- フィットニア
- アグラオネマ・ピクタム
- フィカス・プミラ(壁面)
- アジアンタム
- 換気を週1〜2回確保すること
半密閉型(湿度60〜80%)
- レックスベゴニア
- ネフロレピス(小型品種)
- シンゴニウム
- スキンダプサス・ピクタス
- 最も失敗が少なく初心者向き
開放型(湿度50〜60%)
- ペペロミア・カペラータ
- 多肉質の葉をもつ種
- 見た目重視のレイアウト向き
- 水やり頻度は週1回程度

最初に組むなら、必要湿度の近いものだけで揃えるのがコツだよ。「フィットニアとペペロミアを一緒に」みたいな組み合わせは、どちらかが必ず我慢することになるんだ。
テラリウムに向かない植物
逆に、見た目の相性が良さそうでも避けたほうがよい植物もあります。
| 植物 | 理由 |
|---|---|
| 多肉植物・サボテン | 乾燥を好む。密閉型では確実に腐る |
| サンセベリア | 過湿に極端に弱い |
| モンステラ・アロカシアの大型種 | 葉が30cmを超え、容器に収まらない |
| フィカス・ベンジャミン等の木本 | 成長が速く、根も強く張る |
| パキラ・ガジュマル | 幹を太らせる管理と密閉環境が噛み合わない |
モンステラやアロカシアの幼苗を一時的にテラリウムで育てる(順化や発根のため)のは有効ですが、長期のレイアウト要員としては機能しません。
選ぶときに見落としやすい3つのこと
成長速度を揃える
同じ容器に成長の速い種と遅い種を混植すると、半年で速いほうが遅いほうを覆い尽くします。フィカス・プミラやシンゴニウムは成長が速いので、フィットニアやベゴニアと同居させる場合は切り戻し前提で配置してください。
根の深さを揃える
テラリウムの植栽層は3〜5cm程度しかありません。深く根を張る植物は、この厚みでは窮屈になります。浅く広がる根をもつ種(フィットニア、ペペロミア、匍匐性のシダ類)を中心に組むと安定します。
入手時の状態を疑う
購入した株の土には、前の環境の菌や虫が含まれています。テラリウムへ植え込む前に古い土をできるだけ落とし、可能であれば数週間別の鉢で養生してから入れると、カビやコバエの持ち込みを減らせます(新しく買った植物の隔離)。
まとめ
- テラリウム向きの条件は小型・多湿耐性・切り戻しで維持できることの3つ
- 密閉型ならフィットニア・アグラオネマ・ピクタム・フィカス・プミラ・アジアンタム
- 半密閉型ならレックスベゴニア・ネフロレピス・シンゴニウム・スキンダプサス
- ペペロミアは例外的に高湿度を要求しない。開放型向き
- 多肉植物・サンセベリア・大型アロイドは避ける
同じ容器に入れる種は、必要湿度をできるだけ揃えてください。作り方の手順は植物テラリウムの作り方|容器選びと植え込み、カビを出さない設計は密閉テラリウムのカビ対策|換気と湿度管理にまとめています。
この記事を書いた人

Masashi Matsubuchi / tokyoplants
tokyoplants オーナー
東京・世田谷を拠点とする希少観葉植物専門店「tokyoplants」オーナー。自ら海外へ足を運んで一点ずつ厳選した株を買い付け、年間800株以上を自身の手で育てて販売しています。
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