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アジアンタムとは|代表品種と湿度管理のコツを解説
植物図鑑

アジアンタムとは|代表品種と湿度管理のコツを解説

by tokyoplants 編集部

アジアンタムとは

アジアンタム属(Adiantum)はイノモトソウ科(ホウライシダ科)に属するシダの一群で、世界の熱帯〜温帯域に200種以上が分布する。和名は「ホウライシダ属」。扇形の小さな小葉が繊細に連なり、細く黒光りする葉柄とのコントラストが美しいことから、観葉植物として世界中で親しまれている。

項目 内容
科名 イノモトソウ科(Pteridaceae)
属名 アジアンタム属(Adiantum、和名ホウライシダ属)
種数 約200種以上
原産地 中南米・アフリカ・アジアなど世界の熱帯〜温帯域(種により異なる)
生育型 常緑〜落葉性の多年草シダ(地生)
耐寒温度 多くの流通種で10℃以上を推奨

属名 Adiantum はギリシャ語の「adiantos(濡れない)」に由来する。これは葉の表面が水を弾き、雨や霧に当たっても濡れにくい性質を指した名前だとされている。皮肉なことに、この植物自体は乾燥に非常に弱く、栽培では正反対の「高湿度の維持」が最大の課題になる。


属の特徴

扇形に連なる繊細な小葉

葉は複葉で、扇形または卵形の小さな小葉が羽根状・扇状に連なって展開する。小葉は薄く繊細な質感を持ち、風になびくような柔らかい印象を与える。この繊細さゆえに、乾燥や急激な環境変化に弱く、観葉植物の中でもやや管理難易度が高いグループとされる。

黒く光る葉柄(ワイヤーステム)

多くの種で葉柄が黒褐色〜黒色で光沢があり、繊細な葉とのコントラストを生む。この特徴的な葉柄はワイヤーステムとも呼ばれ、アジアンタムを見分ける際の目印のひとつになる。

乾燥に極端に弱い

シダ類の中でも特に乾燥への耐性が低く、空気が乾燥すると小葉が瞬く間にチリチリと枯れ込む。一度枯れた小葉は元に戻らないため、日々の湿度管理が観賞価値を保つ生命線になる。


代表的な流通種

アジアンタム・ラディアナム(A. raddianum

観葉植物として最も広く流通する種で、単に「アジアンタム」と呼ばれる場合、多くはこの種を指す。中南米(ブラジル南部など)原産で、扇形の小葉が密に茂るコンパクトな草姿が特徴。園芸品種も多数作出されており、葉の巻き方や色味にバリエーションがある。

ホウライシダ(A. capillus-veneris

世界の熱帯〜温帯域に広く分布し、日本国内でも西日本を中心に自生が見られる種。属の和名(ホウライシダ属)の由来になった種でもある。ラディアナムよりもやや細長い小葉を持ち、湿った岩肌や石垣に自生する姿が見られることがある。

アジアンタム・ペルビアナム(A. peruvianum

ペルー原産で、他の種より一回り大きな小葉を持つのが特徴。葉に丸みがあり、ボリューム感のある草姿になる。

アジアンタム・ヒスピダム(A. hispidulum

新葉が赤〜ピンクを帯びて展開し、成長とともに緑に変わっていく品種。葉の展開過程での色の変化も観賞ポイントになる。

いずれの種も基本的な性質(乾燥に弱く高湿度を好む)は共通しているため、見た目の好みで選んでも管理方法に大きな違いはない。


育て方の共通ポイント

明るい間接光〜半日陰を好む。直射日光は葉を傷めるため避ける。北向きや東向きの窓際、レースカーテン越しの光が適する。

水やり

土の表面が乾く前、常にやや湿り気のある状態を保つのが基本。他のシダ類以上に乾燥に弱く、土が完全に乾いてしまうと回復が難しいことが多い。ただし用土の過湿・停滞水は根腐れの原因になるため、「常に湿っているが水浸しではない」状態を意識する。

湿度——アジアンタム栽培の最重要ポイント

アジアンタムの栽培で最も重要なのは空気中の湿度である。目安として60〜70%以上を確保したい。乾燥した室内では小葉が数時間で枯れ込むこともあるため、加湿器の使用、水を張ったトレーの近くに置く、こまめな葉水などの対策が欠かせない。テラリウムやガラス容器での栽培も、高湿度を維持しやすい方法として人気がある。

用土

一般的な観葉植物用の培養土だけでは乾きが早く、アジアンタムには向かない場合がある。観葉植物用培養土に水苔(細かくほぐしたもの)やピートモスを3〜4割程度増量し、保水性を高めた配合が適する。腰水管理(鉢底を浅く水に浸す)で保水性を補う方法も、水切れが心配な場合には有効な手段のひとつ。

温度

生育適温は15〜25℃。10℃を下回ると生育が鈍り、寒さに弱い種では葉が傷むことがある。

肥料

成長期(4〜9月)に月1回程度、薄めた液体肥料を施す。肥料要求量は控えめで、濃い肥料は根を傷めやすいため規定量より薄めが安全。

植え替え

1〜2年に1回、5〜6月が適期。根の状態を確認し、鉢いっぱいに茂っていれば株分けを兼ねて植え替える。


よくあるトラブル

葉がチリチリに枯れる

原因: 空気の乾燥。アジアンタム栽培で最も多いトラブルで、エアコンの風が直接当たる環境では特に起きやすい。

対処: 加湿・葉水で湿度を上げ、エアコンの風が直接当たらない場所に移動する。枯れた小葉は回復しないため、見た目が気になる場合は思い切って刈り込み、新しい葉の展開を待つのもひとつの方法。

急に全体がしおれる

原因: 用土の乾燥、または急激な環境変化(移動・気温変化)によるストレス。

対処: 土の状態を確認し、乾いていればすぐに水を与える。回復しない場合は、明るい半日陰で湿度を保ちながら養生する。

葉が黄色くなる

原因: 過湿による根腐れ、または光量不足。

対処: 用土の水はけと保水性のバランスを見直す。極端に暗い場所に置いている場合は、明るい間接光の環境へ移動する。


増やし方

株分け

成長した株は根茎が分岐して複数の株立ちになる。植え替えのタイミングで根鉢をほぐし、健全な葉と根が付いた状態で分割するのが最も確実な方法。


まとめ

  • アジアンタム属はイノモトソウ科のシダで、扇形の繊細な小葉と黒光りする葉柄が特徴
  • ラディアナム・ホウライシダ・ペルビアナムなど複数の種が観葉植物として流通する
  • 属名の由来(「濡れない」)とは裏腹に、栽培では高湿度の維持が最大の課題
  • 用土は水苔やピートモスを増量し、保水性を高めた配合が適する
  • 湿度不足による葉先の枯れ込みが最も多いトラブル。加湿・葉水での対策が欠かせない

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