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植物育成ライトは1日何時間つければいい?
育て方ガイド

植物育成ライトは1日何時間つければいい?

by Masashi Matsubuchi
Contentsこの記事の内容8項目
  1. 1結論:1日8〜12時間、暗期は最低6時間
  2. 2理由:点灯時間は「PPFD×時間」の総量で決まる
  3. 3季節と環境による調整
  4. 4具体的なやり方:タイマーで固定する
  5. 524時間点灯をすすめない理由
  6. 6電気代は時間でどれだけ変わるか
  7. 7よくある失敗例
  8. 8まとめ

育成ライトを買ったあと、最初に迷うのが点灯時間です。短すぎれば意味がなく、長すぎれば電気代も気になる。「つけっぱなしのほうが育つのでは」と考える方もいます。

結論は1日8〜12時間。ただしこの数字をそのまま使うより、「なぜ8〜12時間なのか」を理解しておくほうが応用が利きます。光量が足りない製品なら時間を伸ばす意味がありますし、逆に時間をいくら伸ばしても解決しない状況もあるからです。

At a glance30秒でわかる点灯時間
基本
1日8〜12時間。迷ったら10時間
暗期
最低でも6〜8時間は消す。24時間点灯はしない
考え方
時間単独ではなく「PPFD×時間」の総量(DLI)で決める
目標
一般的な観葉植物でDLI 4〜8 mol/m²/日
時間帯
朝〜夕方の連続した1区間に固定する
電気代
20Wを12時間で月約223円(31円/kWh)

結論:1日8〜12時間、暗期は最低6時間

まず使える答えを置いておきます。

使い方 点灯時間の目安
自然光がそれなりに入る場所での補光 8〜10時間
窓から離れた場所・北向きなど、光のほとんどをライトに頼る 10〜12時間
冬のあいだだけ補う季節限定運用 10〜12時間
迷ったとき 10時間

12時間を超える設定は基本的に使いません。理由は後述しますが、12時間を超えたぶんで得られる効果より、暗期が短くなるデメリットのほうが大きくなるためです。光が足りないと感じたら、時間ではなく距離(ライトを近づける)や灯数で解決します。


理由:点灯時間は「PPFD×時間」の総量で決まる

DLIという考え方

植物が1日に受け取る光の総量はDLI(Daily Light Integral、mol/m²/日)で表します。計算式はシンプルです。

DLI = PPFD(μmol/m²/s)× 照射秒数 ÷ 1,000,000

一般的な観葉植物の維持に必要なDLIは4〜8 mol/m²/日程度が目安とされています。同じDLIに届くルートは複数あり、「弱い光を長く」でも「強い光を短く」でも成立する、というのがこの指標の便利なところです。

照射面のPPFD 8時間 10時間 12時間
50 1.4 1.8 2.2
100 2.9 3.6 4.3
150 4.3 5.4 6.5
200 5.8 7.2 8.6

※数値はDLI(mol/m²/日)。観葉植物の育成ライト|選び方と照射時間の目安と同じ算定です。

シャディ
シャディ植物のお世話係POINT

この表のいちばん大事な読み方は、行を変える効果のほうが、列を変える効果よりずっと大きいということ。10時間を12時間に伸ばしても2割増だけど、ライトを5cm近づけてPPFDが100から150になれば5割増になるんだ。

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時間を伸ばして足りるのか、足りないのか

もう少し直接的に、「DLI 5 mol/m²/日に届かせるには何時間必要か」を逆算してみます。

照射面のPPFD DLI 5に必要な点灯時間 判定
50 約28時間 不可能。距離か灯数で解決する
80 約17時間 不可能。設定として成立しない
100 約14時間 長すぎる。12時間が上限
150 約9時間 現実的。10時間で余裕がある
200 約7時間 十分。8時間で足りる
300 約5時間 強い。距離を見直してもよい
Numbers点灯時間を決める3つの数字
8〜12
1日の点灯時間(時間)
これを超えて伸ばさない
6〜8
最低限確保したい暗期(時間)
24時間点灯はしない
4〜8
目標DLI(mol/m²/日)
一般的な観葉植物の維持域

この表が示しているのは、照射面のPPFDが100を下回る環境では、点灯時間をどう設定しても解決しないということです。「毎日12時間つけているのに徒長する」という場合、疑うべきは時間ではなく距離と製品の光量です。目安のPPFDは育成ライトの選び方の早見表で確認してください。


季節と環境による調整

夏と冬では窓から入る自然光の量が変わるため、同じ株でも補光の必要度は季節で動きます。

Calendar補光の出番(関東の室内・窓際の目安)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
窓際の株
窓から2m以上
◎ 最適・多め○ 通常△ 控えめ× 不要・避ける◎=しっかり必要 ○=あると良い △=ほぼ不要 ×=不要

窓から2m以上離れた場所に置いている株は、季節に関係なく年間を通して光が足りません。一方、窓際の株は秋から春までの季節限定運用で足りることが多く、その場合は10〜12時間に設定します。

状況 設定
夏はライト不要だった窓際の株 10〜12時間を秋冬だけ。4〜5月で止める
年間ライトに頼っている株 通年10〜12時間。季節で変えなくてよい
室温が15℃を下回る部屋 光より先に温度。低温では光を増やしても代謝が追いつかない
シャディ
シャディ植物のお世話係WARNING

秋冬に点灯時間を延ばすと、株は「まだ成長期だ」と判断して水を使い始める。でも室温が低い時期は土が乾きにくいから、夏と同じ間隔で水をやると根腐れしやすいんだ。補光を始めたら、土の乾き方をもう一度見直してね。

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具体的なやり方:タイマーで固定する

点灯時間は「毎日同じ時刻に、連続した1区間で」が基本です。手動で管理すると必ず消し忘れ・つけ忘れが起きるので、タイマーで自動化してください。

Steps点灯スケジュールの組み方
  1. 1
    消灯時刻を先に決める
    夕方〜夜(例:18時)。ここを固定すると暗期が安定する
  2. 2
    そこから逆算して点灯時刻を決める
    10時間なら8時点灯〜18時消灯
  3. 3
    自然光と重ねる
    補光の場合も、自然光が入る時間帯に重ねるのが基本。明期を分断しない
  4. 4
    2週間そのまま運用する
    途中で設定を変えると、何が効いたのか分からなくなる
  5. 5
    新葉で判定して微調整する
    徒長が続くなら時間ではなく距離を5〜10cm詰める

タイマー本体の選び方は育成ライトのタイマー・スマートプラグ比較にまとめています。

夜しか家にいない場合はどうするか

「日中は留守なので、帰宅後の19時から24時まで点灯している」というケースをよく伺います。これは2つの意味で不利です。

  • 1日5時間では総量が足りない。 PPFD 150でもDLIは2.7程度にしかならず、維持域(4〜8)に届きません
  • 暗期の開始が遅れる。 自然光の明期(朝〜夕方)に夜の点灯が足されると、明期が合計15時間近くになることがあります

対策はシンプルで、タイマーを使って留守中の日中に点灯させることです。株の様子を自分の目で見られないのは不便ですが、植物側の条件は圧倒的に良くなります。


24時間点灯をすすめない理由

「光合成する時間が長いほど育つ」は、ある範囲までは正しいものの、連続照射まで延長すると成り立たなくなります。

  • 暗期の代謝が行われない:植物は暗期に光合成産物の転流や呼吸など、明期とは異なる代謝を行うとされており、連続照射はこのリズムを失わせます
  • 連続光障害が知られている:トマトなど一部の植物では、連続照射で葉に黄化や壊死が生じる「連続光障害」が報告されています。観葉植物で同じ症状が出るとは限りませんが、リスクを冒す理由がありません
  • 光周性への影響:日長に反応して花芽をつける植物では、明期と暗期のバランスが崩れると開花に影響します
  • 器具の寿命:多くの製品は1日10〜12時間の使用を前提に放熱設計されています

最低でも6〜8時間は消す、と覚えておけば十分です。

クロ
クロ土・植え替え担当POINT

暗期は「休ませる時間」ではなく、昼につくった糖を根や新芽へ送る時間だ。光ばかり当てて暗期を削ると、地上部だけ動いて根が付いてこない株になりやすい。

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電気代は時間でどれだけ変わるか

計算式は次のとおりです。電力単価は31円/kWhで統一しています。

消費電力(W)÷ 1000 × 1日の点灯時間 × 31円 × 30日 = 1ヶ月の電気代
消費電力 8時間/日 10時間/日 12時間/日 14時間/日
10W 約74円 約93円 約112円 約130円
20W 約149円 約186円 約223円 約260円
40W 約298円 約372円 約446円 約521円

8時間から12時間に延ばしても、20Wなら月74円の増加です。電気代を理由に点灯時間を削る必要は、ほぼありません。


よくある失敗例

  • つけっぱなしにする:暗期がなくなり、器具の寿命も縮みます。6〜8時間は必ず消す
  • 点灯時間を細切れに分ける:朝3時間+夜4時間のような分割は、植物のリズムを乱します。連続した1区間に
  • 光量不足を時間で埋めようとする:PPFDが100を切る環境では、何時間当てても維持域に届きません
  • 季節で設定を変えない:窓際の株なら、春から夏は止めてよい期間があります
  • 手動で管理する:消し忘れ・つけ忘れが必ず起きます。タイマーは最も費用対効果の高い投資です
  • 暗期に部屋の照明が当たっている:光周性に敏感な植物では、夜間の生活照明が影響することがあります

まとめ

  • 点灯時間は1日8〜12時間。迷ったら10時間に設定する
  • 暗期は最低6〜8時間。24時間点灯はしない
  • 時間は単独では決まらない。PPFD×時間=DLI 4〜8 mol/m²/日を目標に考える
  • PPFDが100を下回る環境は、時間では解決できない。 距離を詰めるか灯数を増やす
  • 毎日同じ時刻、連続した1区間で。タイマーで固定するのが前提
  • 電気代は20W・12時間で月約223円。時間を削る動機にはならない

必要なPPFDそのものの考え方は日光の代わりになるライトの条件、手持ちの照明で代用できるかは普通のLEDで植物は育つ?で解説しています。

この記事を書いた人

Masashi Matsubuchi

Masashi Matsubuchi / tokyoplants

tokyoplants オーナー

東京・世田谷を拠点とする希少観葉植物専門店「tokyoplants」オーナー。自ら海外へ足を運んで一点ずつ厳選した株を買い付け、年間800株以上を自身の手で育てて販売しています。

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