植物育成ライトは1日何時間つければいい?
Contentsこの記事の内容8項目
育成ライトを買ったあと、最初に迷うのが点灯時間です。短すぎれば意味がなく、長すぎれば電気代も気になる。「つけっぱなしのほうが育つのでは」と考える方もいます。
結論は1日8〜12時間。ただしこの数字をそのまま使うより、「なぜ8〜12時間なのか」を理解しておくほうが応用が利きます。光量が足りない製品なら時間を伸ばす意味がありますし、逆に時間をいくら伸ばしても解決しない状況もあるからです。
- 基本
- 1日8〜12時間。迷ったら10時間
- 暗期
- 最低でも6〜8時間は消す。24時間点灯はしない
- 考え方
- 時間単独ではなく「PPFD×時間」の総量(DLI)で決める
- 目標
- 一般的な観葉植物でDLI 4〜8 mol/m²/日
- 時間帯
- 朝〜夕方の連続した1区間に固定する
- 電気代
- 20Wを12時間で月約223円(31円/kWh)
結論:1日8〜12時間、暗期は最低6時間
まず使える答えを置いておきます。
| 使い方 | 点灯時間の目安 |
|---|---|
| 自然光がそれなりに入る場所での補光 | 8〜10時間 |
| 窓から離れた場所・北向きなど、光のほとんどをライトに頼る | 10〜12時間 |
| 冬のあいだだけ補う季節限定運用 | 10〜12時間 |
| 迷ったとき | 10時間 |
12時間を超える設定は基本的に使いません。理由は後述しますが、12時間を超えたぶんで得られる効果より、暗期が短くなるデメリットのほうが大きくなるためです。光が足りないと感じたら、時間ではなく距離(ライトを近づける)や灯数で解決します。
理由:点灯時間は「PPFD×時間」の総量で決まる
DLIという考え方
植物が1日に受け取る光の総量はDLI(Daily Light Integral、mol/m²/日)で表します。計算式はシンプルです。
DLI = PPFD(μmol/m²/s)× 照射秒数 ÷ 1,000,000
一般的な観葉植物の維持に必要なDLIは4〜8 mol/m²/日程度が目安とされています。同じDLIに届くルートは複数あり、「弱い光を長く」でも「強い光を短く」でも成立する、というのがこの指標の便利なところです。
| 照射面のPPFD | 8時間 | 10時間 | 12時間 |
|---|---|---|---|
| 50 | 1.4 | 1.8 | 2.2 |
| 100 | 2.9 | 3.6 | 4.3 |
| 150 | 4.3 | 5.4 | 6.5 |
| 200 | 5.8 | 7.2 | 8.6 |
※数値はDLI(mol/m²/日)。観葉植物の育成ライト|選び方と照射時間の目安と同じ算定です。

この表のいちばん大事な読み方は、行を変える効果のほうが、列を変える効果よりずっと大きいということ。10時間を12時間に伸ばしても2割増だけど、ライトを5cm近づけてPPFDが100から150になれば5割増になるんだ。
時間を伸ばして足りるのか、足りないのか
もう少し直接的に、「DLI 5 mol/m²/日に届かせるには何時間必要か」を逆算してみます。
| 照射面のPPFD | DLI 5に必要な点灯時間 | 判定 |
|---|---|---|
| 50 | 約28時間 | 不可能。距離か灯数で解決する |
| 80 | 約17時間 | 不可能。設定として成立しない |
| 100 | 約14時間 | 長すぎる。12時間が上限 |
| 150 | 約9時間 | 現実的。10時間で余裕がある |
| 200 | 約7時間 | 十分。8時間で足りる |
| 300 | 約5時間 | 強い。距離を見直してもよい |
この表が示しているのは、照射面のPPFDが100を下回る環境では、点灯時間をどう設定しても解決しないということです。「毎日12時間つけているのに徒長する」という場合、疑うべきは時間ではなく距離と製品の光量です。目安のPPFDは育成ライトの選び方の早見表で確認してください。
季節と環境による調整
夏と冬では窓から入る自然光の量が変わるため、同じ株でも補光の必要度は季節で動きます。
窓から2m以上離れた場所に置いている株は、季節に関係なく年間を通して光が足りません。一方、窓際の株は秋から春までの季節限定運用で足りることが多く、その場合は10〜12時間に設定します。
| 状況 | 設定 |
|---|---|
| 夏はライト不要だった窓際の株 | 10〜12時間を秋冬だけ。4〜5月で止める |
| 年間ライトに頼っている株 | 通年10〜12時間。季節で変えなくてよい |
| 室温が15℃を下回る部屋 | 光より先に温度。低温では光を増やしても代謝が追いつかない |

秋冬に点灯時間を延ばすと、株は「まだ成長期だ」と判断して水を使い始める。でも室温が低い時期は土が乾きにくいから、夏と同じ間隔で水をやると根腐れしやすいんだ。補光を始めたら、土の乾き方をもう一度見直してね。
具体的なやり方:タイマーで固定する
点灯時間は「毎日同じ時刻に、連続した1区間で」が基本です。手動で管理すると必ず消し忘れ・つけ忘れが起きるので、タイマーで自動化してください。
- 1消灯時刻を先に決める夕方〜夜(例:18時)。ここを固定すると暗期が安定する
- 2そこから逆算して点灯時刻を決める10時間なら8時点灯〜18時消灯
- 3自然光と重ねる補光の場合も、自然光が入る時間帯に重ねるのが基本。明期を分断しない
- 42週間そのまま運用する途中で設定を変えると、何が効いたのか分からなくなる
- 5新葉で判定して微調整する徒長が続くなら時間ではなく距離を5〜10cm詰める
タイマー本体の選び方は育成ライトのタイマー・スマートプラグ比較にまとめています。
夜しか家にいない場合はどうするか
「日中は留守なので、帰宅後の19時から24時まで点灯している」というケースをよく伺います。これは2つの意味で不利です。
- 1日5時間では総量が足りない。 PPFD 150でもDLIは2.7程度にしかならず、維持域(4〜8)に届きません
- 暗期の開始が遅れる。 自然光の明期(朝〜夕方)に夜の点灯が足されると、明期が合計15時間近くになることがあります
対策はシンプルで、タイマーを使って留守中の日中に点灯させることです。株の様子を自分の目で見られないのは不便ですが、植物側の条件は圧倒的に良くなります。
24時間点灯をすすめない理由
「光合成する時間が長いほど育つ」は、ある範囲までは正しいものの、連続照射まで延長すると成り立たなくなります。
- 暗期の代謝が行われない:植物は暗期に光合成産物の転流や呼吸など、明期とは異なる代謝を行うとされており、連続照射はこのリズムを失わせます
- 連続光障害が知られている:トマトなど一部の植物では、連続照射で葉に黄化や壊死が生じる「連続光障害」が報告されています。観葉植物で同じ症状が出るとは限りませんが、リスクを冒す理由がありません
- 光周性への影響:日長に反応して花芽をつける植物では、明期と暗期のバランスが崩れると開花に影響します
- 器具の寿命:多くの製品は1日10〜12時間の使用を前提に放熱設計されています
最低でも6〜8時間は消す、と覚えておけば十分です。

暗期は「休ませる時間」ではなく、昼につくった糖を根や新芽へ送る時間だ。光ばかり当てて暗期を削ると、地上部だけ動いて根が付いてこない株になりやすい。
電気代は時間でどれだけ変わるか
計算式は次のとおりです。電力単価は31円/kWhで統一しています。
消費電力(W)÷ 1000 × 1日の点灯時間 × 31円 × 30日 = 1ヶ月の電気代
| 消費電力 | 8時間/日 | 10時間/日 | 12時間/日 | 14時間/日 |
|---|---|---|---|---|
| 10W | 約74円 | 約93円 | 約112円 | 約130円 |
| 20W | 約149円 | 約186円 | 約223円 | 約260円 |
| 40W | 約298円 | 約372円 | 約446円 | 約521円 |
8時間から12時間に延ばしても、20Wなら月74円の増加です。電気代を理由に点灯時間を削る必要は、ほぼありません。
よくある失敗例
- つけっぱなしにする:暗期がなくなり、器具の寿命も縮みます。6〜8時間は必ず消す
- 点灯時間を細切れに分ける:朝3時間+夜4時間のような分割は、植物のリズムを乱します。連続した1区間に
- 光量不足を時間で埋めようとする:PPFDが100を切る環境では、何時間当てても維持域に届きません
- 季節で設定を変えない:窓際の株なら、春から夏は止めてよい期間があります
- 手動で管理する:消し忘れ・つけ忘れが必ず起きます。タイマーは最も費用対効果の高い投資です
- 暗期に部屋の照明が当たっている:光周性に敏感な植物では、夜間の生活照明が影響することがあります
まとめ
- 点灯時間は1日8〜12時間。迷ったら10時間に設定する
- 暗期は最低6〜8時間。24時間点灯はしない
- 時間は単独では決まらない。PPFD×時間=DLI 4〜8 mol/m²/日を目標に考える
- PPFDが100を下回る環境は、時間では解決できない。 距離を詰めるか灯数を増やす
- 毎日同じ時刻、連続した1区間で。タイマーで固定するのが前提
- 電気代は20W・12時間で月約223円。時間を削る動機にはならない
必要なPPFDそのものの考え方は日光の代わりになるライトの条件、手持ちの照明で代用できるかは普通のLEDで植物は育つ?で解説しています。
この記事を書いた人

Masashi Matsubuchi / tokyoplants
tokyoplants オーナー
東京・世田谷を拠点とする希少観葉植物専門店「tokyoplants」オーナー。自ら海外へ足を運んで一点ずつ厳選した株を買い付け、年間800株以上を自身の手で育てて販売しています。
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