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普通のLEDで植物は育つ?育成ライトとの違い
育て方ガイド

普通のLEDで植物は育つ?育成ライトとの違い

by Masashi Matsubuchi
Contentsこの記事の内容6項目
  1. 1結論:波長は足りている。足りないのは光の量
  2. 2理由・仕組み:ルクスとPPFDはどれだけ違うのか
  3. 3一般照明用LEDと植物育成用LEDの違い
  4. 4具体的なやり方:普通のLEDで代用できる条件
  5. 5よくある失敗例
  6. 6まとめ

「部屋の照明はLEDだから、わざわざ植物育成ライトを買わなくてもいいのでは」——育成ライトを検討している方から、ほぼ必ず出てくる疑問です。最近のLEDシーリングライトは明るく、白く、見た目には太陽光に近い色をしています。

結論を先に言うと、普通のLEDで植物が思うように育たない理由は、よく言われる「波長が違うから」ではありません。もっと単純に、株に届く光の量が1〜2桁足りていないだけです。この記事では、その差をルクスとPPFDの換算で数字にしたうえで、「普通のLEDでも代用できる条件」まで踏み込んで整理します。

At a glance30秒でわかる普通のLEDと育成ライト
波長
白色LEDも400〜700nmをひと通りカバーしている
本当の差
株に届く光の量(PPFD)が1〜2桁違う
天井照明
直下でもPPFDは5〜12程度しかない
換算
白色LEDはおおよそ「ルクス÷70」でPPFDの目安
代用の条件
低光量種・20〜30cmまで寄せる・10時間以上
限界
複数鉢・高光量種・生活空間との両立は無理がある

結論:波長は足りている。足りないのは光の量

一般的な白色LEDは、青色LEDチップの光を黄色い蛍光体に当てて白色を作っています。このため400〜700nm(PAR=光合成有効放射)の範囲をひと通りカバーしており、光合成に使える光は確かに出ています。 「普通のLEDには植物が使える波長がない」という説明をときどき見かけますが、これは正確ではありません。

植物が光合成に使う光の効率を波長ごとに示した作用スペクトル(McCree曲線)では、赤と青が最も効率が高いものの、緑色光も赤の7〜8割程度の効率で利用されるとされています。白色LEDは緑〜黄の成分が多い光源ですから、「人間向けだから植物には無駄」ということもありません。

Numbers差が出ているのは量のほう
1/10〜1/25
天井照明と必要光量の差
直下でもPPFDは5〜12程度
÷70
ルクス→PPFDの概算(白色LED)
500lxでもPPFDは約7
20〜30cm
一般照明で代用するときの距離
ここまで寄せて初めて届く

つまり争点は「光の質」ではなく「光の量」です。普通のLEDは、植物の近くまで持っていけば光源として機能します。 ただし部屋の天井に付いたままでは、量として話にならない、というのが実態です。


理由・仕組み:ルクスとPPFDはどれだけ違うのか

ルクスは人の目の感度で重み付けされた単位

ルクス(lx)は人間の目が感じる明るさ、PPFD(μmol/m²/s)は植物が光合成に使える光子の数です。両者は同じ光を別の物差しで測ったものなので、光源の種類ごとに換算の係数が変わります。

Apogee Instrumentsが公開している換算表では、光源別の係数は次のようになっています(PPFDに係数を掛けるとルクスになる)。

光源 PPFD→ルクスの係数 ルクス→PPFDの係数
太陽光 54 0.0185
冷白色蛍光灯 74 0.0135
メタルハライドランプ 71 0.0141
高圧ナトリウムランプ 82 0.0122

出典:Apogee Instruments「Conversion - PPFD to Lux」

この表に白色LEDの行はありません。白色LEDのスペクトルは冷白色蛍光灯と太陽光の中間的な形をしているため、実務上は係数54〜74のあいだ、ざっくり「ルクス÷70前後」でPPFDの見当をつけるのが現実的です。厳密な値は製品のスペクトルによって変わるので、あくまで桁を把握するための計算と考えてください。

室内の照度を実際に換算してみる

観葉植物が枯れる5つの要因で整理している室内光量の目安を、PPFDとあわせて見てみます。

場所 照度(lx) PPFDの目安 観葉植物にとって
南向き窓際(直射あり) 10,000〜50,000 200〜1,000 十分
南向き窓際(レース越し) 3,000〜8,000 50〜150 ほぼ足りる
窓から1〜2m 500〜2,000 8〜30 深刻な不足
部屋の中央付近 100〜500 2〜8 生存限界以下
シーリングライト直下 300〜800 5〜12 生存限界以下

一般的な観葉植物が今の姿を維持するために必要なPPFDは、低光量種でも30〜80、モンステラやフィロデンドロンのような種類で80〜150です(観葉植物の育成ライト|選び方と照射時間の目安の早見表)。

シーリングライトの直下でPPFD 5〜12。 必要量の10分の1から25分の1しかありません。これが「部屋は明るいのに植物が徒長する」の正体です。

シャディ
シャディ植物のお世話係POINT

人の目は明るさの差にすごく強く順応するんだ。窓際と部屋の奥で光量が10倍違っても、どちらも「明るい部屋」としか感じない。だから体感ではなく、窓からの距離という物理的な数字で判断したほうが外さないよ。

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天井照明が弱くなるのは「広く配る」照明だから

8畳用のLEDシーリングライトは、だいたい3,800〜4,500ルーメン程度の明るさを持っています。数字だけ見れば20W級の育成ライトより大きいのですが、この光は13m²前後の部屋全体に配られます。

ざっと計算すると、4,000ルーメンを13m²に配れば平均300ルーメン/m²程度、つまり床面の平均照度は数百ルクスのオーダーです。JISの照明基準でも住宅の居間の推奨照度は団らんで200ルクス、読書で500ルクス程度とされており、そもそも「人が快適に過ごせる最小限」を広い面積に配る設計になっています。

一方で育成ライトは、同じ20〜30Wのエネルギーを直径30〜50cm程度の狭い範囲に集中させます。これが照射面のPPFDで数十倍の差になる理由です。


一般照明用LEDと植物育成用LEDの違い

項目 一般照明用LED 植物育成用LED
設計の目的 人が見やすい明るさを広く配る 株の位置に光量を集中させる
公表スペック ルーメン・色温度・Ra PPFD+測定距離・波長分布・Ra
想定する距離 1〜2m先(床・机) 20〜60cm
配光 広角(部屋全体) 狭角〜中角(レンズ・反射板あり)
赤色(650〜680nm) 製品により弱い場合がある 意図的に確保・補強している製品が多い
連続点灯 1日数時間の想定が多い 1日10〜12時間を前提とした放熱設計

注目してほしいのは「公表スペック」の行です。一般照明はルーメンしか書かれていないので、株の位置に何μmol届くのかが買う前に分かりません。育成ライトの価値の半分は「PPFDを測定距離とセットで公表していること」にあります。

クロ
クロ土・植え替え担当WARNING

光が足りない状態が続くと、葉が小さくなる・節間が伸びる・斑が薄れる、といった変化が出る。いずれもすでに開いた葉は元に戻らない。改善したかどうかは、次に出てくる新しい葉で判断してくれ。

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具体的なやり方:普通のLEDで代用できる条件

「天井照明ではダメ」は確定ですが、手元のLEDデスクライトを株のすぐ横に置くなら話は変わります。光源に近づけば、照度は距離の二乗に反比例して急激に上がるからです。

800ルーメン程度のLEDデスクライトを20cmまで寄せると、照射中心の照度は数千ルクスに達します。「ルクス÷70」で換算すればPPFDは数十。低光量種の維持域(30〜80)には届く計算です。

Steps手持ちのLED照明で代用するときの手順
  1. 1
    対象を絞る
    ポトス・サンスベリア・ザミオクルカス・アグラオネマなど、低光量種1鉢だけにする
  2. 2
    器具を選ぶ
    天井照明ではなくデスクライト・クリップライトなど、株に寄せられるものを使う
  3. 3
    20〜30cmまで寄せる
    照射中心が株の中心に来るように向ける。離すと一気に足りなくなる
  4. 4
    10〜12時間つける
    光量が低いぶん、時間を長めにとって1日の総光量で補う
  5. 5
    2〜3週間、新葉で判定する
    新しい葉が前より小さい・茎が伸びるなら代用は失敗

代用が向くケース・向かないケース

結論

普通のLEDで代用してよいか

代用してよい

量を距離と時間で稼げる

  • ✓低光量種を1鉢だけ
  • ✓デスクライト等、20〜30cmに寄せられる器具がある
  • ✓冬の数ヶ月だけ、落とさずに越したい
  • ✓買う前に効果を試してみたい
VS

育成ライトにしたほうがよい

量も範囲も足りない

  • ✓鉢が3つ以上ある/棚で管理している
  • ✓アガベ・多肉・ビカクシダなど高光量種
  • ✓斑入り品種の斑を保ちたい
  • ✓天井照明しか光源がない
  • ✓リビングの景観を保ったまま運用したい
シャディ
シャディ植物のお世話係TIP

代用を試す前に、その場所が今どのくらいの明るさなのかを一度見ておくと判断が早いよ。アプリの光量チェックを使えば窓際とライト下の目安を数値で比べられるから、「寄せたらどこまで上がるのか」が感覚でつかめるようになる。

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よくある失敗例

  • 「全光束(ルーメン)が大きいから大丈夫」と判断する:ルーメンは光源が出す総量で、株に届く量ではありません。配られる面積が広ければ照射面の光量は小さくなります
  • 天井照明の点灯時間を延ばす:PPFD 5〜12を24時間当てても、必要な総光量には届きません。時間で補えるのは「あと少し」の場合だけです
  • 植物育成用と書かれた電球を天井のソケットに付ける:育成ライトは20〜60cmで使う前提の配光です。天井から2m離れた床の鉢には、ほとんど届きません
  • 紫色に光るライトのほうが効きそうだと考える:赤と青だけのライトは葉色が確認しづらく、生活空間では扱いにくい。白色の高演色タイプでも十分育ちます
  • 光だけ足して水やりを変えない:補光すると株は水を使い始めます。土の乾くペースが変わるので、水やり間隔も見直してください

まとめ

  • 普通の白色LEDも400〜700nmをカバーしており、波長が理由で育たないわけではない
  • 決定的に足りないのは光の量。シーリングライト直下でPPFD 5〜12に対し、維持に必要なのは30〜150
  • 白色LEDはおおよそ「ルクス÷70」でPPFDの見当がつく。桁を把握するのに使える
  • 一般照明は「広く配る」、育成ライトは「狭く集める」設計。差の本質はここにある
  • 低光量種1鉢を20〜30cmまで寄せるなら、手持ちのLEDでも維持はできる。鉢が増えたら育成ライトのほうが早い

点灯時間の決め方は植物育成ライトは1日何時間つければいい?、そもそも何μmol必要なのかという話は日光の代わりになるライトの条件にまとめています。製品を選ぶ段階に入ったら植物育成ライト おすすめ5選をご覧ください。

この記事を書いた人

Masashi Matsubuchi

Masashi Matsubuchi / tokyoplants

tokyoplants オーナー

東京・世田谷を拠点とする希少観葉植物専門店「tokyoplants」オーナー。自ら海外へ足を運んで一点ずつ厳選した株を買い付け、年間800株以上を自身の手で育てて販売しています。

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