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サンスベリア・シリンドリカ(ボンセラ)の育て方|円筒形の葉が個性的な品種図鑑
植物図鑑

サンスベリア・シリンドリカ(ボンセラ)の育て方|円筒形の葉が個性的な品種図鑑

by tokyoplants 編集部

サンスベリア・シリンドリカ(Dracaena angolensis、旧 Sansevieria cylindrica)は、剣状の平たい葉が主流のサンスベリアの中で、先の尖った円筒形の葉を持つ異色の品種である。編み込みに加工された姿でインテリアショップに並ぶことも多く、流通名「ボンセラ(ボンセル)」でも親しまれている。

結論

  1. シリンドリカの管理の核心は、他のサンスベリア(Dracaena trifasciata)と全く同じ「水をやりすぎないこと」に尽きる。 円筒形という特殊な葉形でも、過湿による根腐れという最大の弱点は共通している。
  2. 流通名「ボンセラ(ボンセル)」は、シリンドリカの中でも葉が扇状にまとまって育つ系統に付けられた名称。 よく別種として語られる「ボンセレンシス」も、分類上は同じ Dracaena angolensis の系統として扱われており、両者を厳密に区別する必要はない。
  3. 編み込み株は成長とともにほどけやすい。 見た目を維持したい場合は定期的な結び直しが必要になる。

基本情報

項目 内容
学名 Dracaena angolensis (Welw. ex Carrière) Byng & Christenh.(旧 Sansevieria cylindrica Bojer ex Hook.)
科名 キジカクシ科(Asparagaceae)
属名 ドラセナ属(旧サンスベリア属)
原産地 アンゴラを中心とした熱帯〜亜熱帯アフリカ(乾燥した疎林・岩場)
生育型 常緑多年草(根茎性・多肉質)
葉の高さ 最大で1.5m程度(栽培下では50〜100cm程度が多い)
耐寒温度 10℃以上(推奨15℃以上)
難易度 初心者向け(★☆☆☆☆)

サンスベリア・シリンドリカとは

シリンドリカは、アンゴラを中心とする熱帯アフリカの乾燥した岩場・疎林に自生するキジカクシ科の多肉質植物である。地下茎から扇状に伸びる円筒形の葉は先端が鋭く尖り、灰緑色の地に濃緑の横縞模様が入る。一般的なサンスベリア(Dracaena trifasciata、旧ローレンティー系)が平たい剣状の葉を持つのに対し、シリンドリカは中身の詰まった丸い棒状の葉という、触感も見た目も大きく異なる個性を持つ。

観葉植物として流通する際は、複数の葉を三つ編みのように編み込んだ「編み込みタイプ」もよく見られる。編み込みは自然にできる形ではなく、生産段階で人為的に加工されたもので、見た目のユニークさから贈答用やインテリア雑貨店での取り扱いも多い。

流通名「ボンセラ」の由来と紛らわしい近縁種

シリンドリカは日本の卸市場や園芸店で「ボンセル」「ボンセラ」という流通名でも扱われている。この名称は、葉が扇状に密にまとまって展開する系統・園芸品種に付けられたもので、しばしば別種として紹介される「サンスベリア・ボンセレンシス(Sansevieria boncellensis)」と混同されやすい。

実際には、ボンセレンシスとして流通する個体の多くは分類上 Dracaena angolensis の異名・園芸品種として扱われており、シリンドリカと全く別の野生種というより、同じグループの中での姿形のバリエーションと捉えるのが実態に近い。店舗やラベルによって「シリンドリカ」「ボンセル」「ボンセレンシス」の呼び分けが一定しないことがあるが、育て方に大きな違いはないため、名称の揺れに神経質になりすぎる必要はない。

近縁種・関連品種との比較

品種名 葉の形 成長パターン 備考
シリンドリカ(ボンセル) 円筒形・先が尖る 若いうちは扇状、成熟すると上に直立 最も流通量が多いタイプ
ボンセレンシス系統 円筒形・扇状 葉が密にまとまり、四方に広がらない シリンドリカの一系統として扱われることが多い
ローレンティー(D. trifasciata 平たい剣状・黄縁 直立 最も普及している定番品種。詳しくはサンスベリアの図鑑ページを参照
ムーンシャイン 平たい剣状・銀緑色 直立 詳しくはサンスベリア・ムーンシャインの育て方を参照

葉の断面が「平たいか、丸いか」という一点で、シリンドリカは他の主要な品種と明確に区別できる。

特徴

円筒形の葉が生まれる理由

多肉質植物にとって、葉の表面積に対する体積の比率を小さくすることは、蒸散量を抑えて乾燥に耐えるための有効な戦略である。円筒形の葉は同じ体積の平たい葉と比べて表面積が小さく、乾燥した原産地の環境により適応した形状と考えられている。中身が詰まった構造のため、他の多肉植物のように葉の中に多くの水分を蓄えることができる。

CAM型光合成による高い乾燥耐性

サンスベリア属(現ドラセナ属)に共通する特徴として、夜間に気孔を開いてCO₂を取り込み、日中は気孔を閉じて水分の蒸散を抑える「CAM型光合成」を行う。この仕組みにより、乾燥した環境でも生き延びられる高い耐性を獲得している。詳しい仕組みはサンスベリアの図鑑ページで解説している。

編み込みタイプの仕立て

流通する株の中には、複数枚の葉を若いうちに三つ編み状に編み込んで固定したタイプがある。編み込みは葉が成熟して硬くなる前の若い段階で行われ、時間の経過とともに編み目がほどけにくくなる。ただし新しく伸びる葉は編み込まれずにまっすぐ育つため、見た目を維持したい場合は定期的に新しい葉を編み足す手入れが必要になる。

育て方

置き場所(光)

明るい間接光が理想的だが、耐陰性が高く、やや暗めの室内でも枯れることは少ない。ただし光量が不足すると成長が極端に鈍くなり、葉の色つやも失われていく。真夏の強い直射日光には比較的耐えるが、急に屋外の直射日光に当てると葉焼けを起こすことがあるため、屋外管理を始める場合は徐々に慣らす。

水やり

サンスベリア属全般に共通する最重要ポイントが水やりである。

  • 春〜秋: 土が完全に乾いてから7〜10日後を目安に与える
  • 冬(室温10℃以下): 断水に近い管理でよい
  • 冬(室温15℃以上を維持できる環境): 月1回程度、少量を与える

枯れる原因の大半は過湿による根腐れであるため、「迷ったら水やりしない」を徹底する。円筒形の葉は内部に水分を蓄えているため、多少の乾燥では簡単にしおれない。

温度

生育適温は20〜30℃。10℃以下で生育に障害が出始め、5℃以下では枯死のリスクが高まる。冬は窓際の冷え込みに注意し、暖かい室内の安定した場所で管理する。

用土

排水性を最優先した土を使う。多肉質の根は常に湿った土を嫌うため、一般的な観葉植物用土よりも乾燥しやすい配合が向く。市販の観葉植物用土を使う場合は、パーライトや軽石を2〜3割追加するとよい。素焼き鉢を使うと通気性が高まり、根腐れリスクをさらに下げられる。

肥料

春〜秋に緩効性化成肥料を2〜3ヶ月に1回程度で十分。成長が緩やかなため、過剰な施肥はかえって根を傷める。冬季は施肥不要。

植え替え

成長が緩やかなため、2〜3年に1回で十分。鉢の中で根が回っている、子株が鉢からはみ出しているなどのサインが見られたら、5〜6月の適期に植え替える。

よくあるトラブル

根腐れ

症状: 葉の根元がぶよぶよして茶色〜黒に変色する。異臭を伴うこともある。

原因: 水のやりすぎ。特に冬季の過湿が最も多い。

対処: 腐った部分を取り除き、健全な根が残っていれば新しい排水性の高い土に植え替える。詳しい判断基準は観葉植物が根腐れする原因と復活方法を参照。回復が難しい場合は健全な葉を使って挿し木で救出する。

葉が倒れる・垂れる

原因候補: 根腐れ、光量不足による徒長、編み込みの重みによる負荷。

対処: 株元を触って柔らかければ根腐れ、硬ければ光不足や重量バランスを疑う。編み込みタイプは葉が伸びるほど自重で垂れやすくなるため、支柱を添えるのも一つの方法である。

葉先が枯れる

原因候補: 長期間の水不足、低温、乾燥。

対処: 水やりを再開すれば新しい葉は健全に育つ。枯れた葉先は清潔なハサミでカットすると見た目が整う。

編み込みがほどける

原因: 新しく伸びた葉は編み込まれておらず、まっすぐ育つため、時間とともに編み目の外に葉が増えていく。

対処: 見た目を維持したい場合は、新しい葉がまだ柔らかいうちに編み足す。特に手入れをせず自然な姿に任せるのも一つの楽しみ方である。

増やし方

株分け

地下茎から出た子株を、植え替え時に切り分けて増やす。切り口を1〜2日乾かしてから、排水性の高い新しい土に植え付ける。最も確実で失敗の少ない増やし方である。

葉挿し

葉を10〜15cm程度にカットし、切り口を数日乾燥させてから土に挿す。2〜3ヶ月程度で発根・新芽が出る。ただし切った葉の上下を間違えると発根しないため、どちらが根元側かを覚えておく必要がある。

まとめ

  1. シリンドリカの管理は他のサンスベリアと変わらず「水をやりすぎないこと」が最大のポイント。 円筒形という特殊な葉形に惑わされず、基本の水やり感覚を守ればよい。
  2. 流通名「ボンセラ」「ボンセレンシス」は、いずれも同じグループの中でのバリエーションとして理解しておくと、店頭表記の揺れに振り回されずに済む。
  3. 編み込みタイプは新しい葉が編み込まれないため、見た目の維持には定期的な手入れが必要。 自然に任せる楽しみ方もある。

平たい葉のサンスベリアとは一線を画す円筒形のフォルムは、インテリアのアクセントとして独自の存在感を放つ。丈夫で手間のかからない性質はそのままに、個性的な株姿を楽しみたい人におすすめの一鉢だ。

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