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フィロデンドロン・セローム(ザナドゥ)の特徴と育て方
植物図鑑

フィロデンドロン・セローム(ザナドゥ)の特徴と育て方

by tokyoplants 編集部

深く切れ込んだ大きな葉を放射状に広げ、存在感のある株姿で親しまれるフィロデンドロン・セローム。観葉植物として広く流通する一方で、近年は学名そのものが分類学的に大きく揺れ動いている、実は分類学的に興味深い植物でもある。この記事では基本情報、学名変更の経緯、育て方までを詳しく解説する。


結論

  1. セローム(学名 bipinnatifidum)は、2018年の分類学的研究によって新設された属「タウマトフィルム(Thaumatophyllum)」に移されたが、2024年前後からKewのPOWO(Plants of the World Online)は再びフィロデンドロン属を採用する動きを見せており、データベースによって扱いが分かれている状況だ。 どちらの学名で呼ばれても同じ植物を指すと理解しておけば問題ない。
  2. 「ザナドゥ(Xanadu)」は同じ系統から選抜されたコンパクトな栽培品種で、セロームより葉が小さく茂みがまとまりやすい。 大型化しやすいセロームに対し、省スペースで育てたい場合はザナドゥが選ばれることが多い。
  3. 非つる性で自立して育つ大型フィロデンドロンで、成長すると幹のような太い茎が地上部に現れる。 広いスペースでの管理が向いている。

基本情報

項目 内容
学名 Thaumatophyllum bipinnatifidum (Schott ex Endl.) Sakur., Calazans & Mayo(GBIF等ではこちらを採用。旧名 Philodendron bipinnatifidum、流通名は"selloum")
科・属 サトイモ科(Araceae)(旧フィロデンドロン属、現タウマトフィルム属)
原産地 南米(ブラジル南部からパラグアイ、アルゼンチン北部にかけて)
生育型 常緑多年草・非つる性(自立型、大型)
草丈 地植えで1〜2m以上、鉢植えでも1m前後に成長
葉の形 深い切れ込みが入る大型の葉(羽状に近い形)
難易度 ★★☆☆☆(初〜中級者向け)
毒性 あり(シュウ酸カルシウムを含む。ペット・幼児に注意)

特徴

セロームの葉は、株が成熟するにつれて深い切れ込みが入り、まるで羽根を広げたような複雑な形になる。若い株の葉は切れ込みが浅くハート形に近いが、成長とともに徐々に切れ込みが深くなっていく。

非つる性の大型フィロデンドロンで、成長すると茎が太く木質化し、地上に露出した幹のような姿になる。この茎からは太い気根が多数伸び、水分や養分の吸収を助けると同時に、株を安定させる支えの役割も果たす。


名前の由来・学名変更の経緯

セロームという流通名は、かつて独立種として扱われていた Philodendron selloum に由来する。しかし後の分類学的研究により、P. selloumPhilodendron bipinnatifidum と同一種であることが判明し、現在では流通名としてのみ「セローム」が使われ、学術的には bipinnatifidum に統合されている。

2018年、ブラジルの植物学者サクラグイ(Sakuragui)らによる分子系統解析の研究で、大型で自立して育つ一群のフィロデンドロンが遺伝的にフィロデンドロン属の他種と大きく異なることが示され、19世紀に一度提唱されながら使われなくなっていた属名「タウマトフィルム(Thaumatophyllum)」が復活し、本種を含む複数の大型種がこの新属に移された。

ただし、この分類の扱いは現在も完全には定まっていない。GBIF(地球規模生物多様性情報機構)のデータベースでは Thaumatophyllum bipinnatifidum を受理名(accepted name)として扱っている一方、Kewが運営するPOWOでは2024年前後から再びフィロデンドロン属としての扱いに戻す動きも報告されており、データベース間で見解が一致していない状況が続いている。本記事では、園芸の現場で広く使われている「フィロデンドロン・セローム」という呼び方を用いつつ、学術的にはこうした分類上の議論が進行中である点を正確にお伝えしたい。


ザナドゥとの違い

「ザナドゥ(Xanadu)」は、セロームと同じ系統から選抜されたコンパクトな栽培品種で、正式には Thaumatophyllum xanadu(旧 Philodendron 'Xanadu')として扱われることが多い。

項目 セローム ザナドゥ
草丈・葉のサイズ 大型(1〜2m以上に成長) コンパクト(50〜80cm程度)
葉の切れ込み 深く不規則 やや浅く整った印象
向いている環境 広い庭・大きな室内空間 一般的な室内サイズの鉢植え

省スペースで似た雰囲気を楽しみたい場合はザナドゥ、豪快な大型株を育てたい場合はセロームを選ぶとよい。

近縁種フィロデンドロン・スクアミフェルムの育て方はこちら


育て方

置き場所

明るい間接光を好む。耐陰性もある程度あり、やや暗めの場所でも育つが、成長はゆっくりになる。直射日光は葉焼けの原因になるため避ける。

水やり

土の表面が乾いてから、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与える。過湿による根腐れを避けるため、受け皿の水は必ず捨てる。

用土

水はけの良い観葉植物用の土が適している。大型に育つため、成長に応じた植え替えでゆとりのある鉢を用意したい。植え替えの具体的な手順はこちらの記事も参考になる。

湿度・温度

一般的な室内環境に順応しやすい。最低気温10℃以上を目安に管理する。

肥料

生育期(4〜9月)に緩効性肥料を2ヶ月に1回、または液体肥料を月1〜2回与える。


よくあるトラブルと対処法

葉が小さいまま大きくならない

原因: 光量不足、または鉢が小さく根詰まりしている。 対処: より明るい場所に移動し、鉢のサイズを見直す。

下葉が黄色くなって落ちる

原因: 過湿、または加齢による自然な下葉の入れ替わり。 対処: 水やり頻度を見直す。株の成長過程で下葉が落ちるのは自然な現象でもある。

根腐れ(茎が柔らかくなる)

原因: 過湿、水はけの悪い用土。 対処: 腐った根を取り除き、乾燥させてから新しい用土に植え替える。


増やし方

株分けが最も確実な方法だ。成長した株の根元から出る子株を、植え替えのタイミングで根を傷つけないよう分ける。太い茎からの茎挿しも可能だが、発根までに時間がかかることがある。


まとめ

フィロデンドロン・セロームは、大きく切れ込んだ葉と存在感のある株姿が魅力の観葉植物だ。学名がタウマトフィルム属へ移された経緯、そして現在も分類の扱いがデータベース間で分かれている点は、植物分類学の生きた事例として興味深い。

管理のポイントを整理すると:

  • 学名: Thaumatophyllum bipinnatifidum(旧 Philodendron bipinnatifidum / selloum)。分類は現在も議論中
  • サイズ: 大型になるため広めのスペースと定期的な植え替えが必要
  • 近縁品種: コンパクトに育てたいならザナドゥを選ぶ

分類の背景を知った上で育てれば、セロームの豪快な葉姿をより深く楽しむことができる。

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