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観葉植物のリラックス効果は本当?科学的根拠を検証
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観葉植物のリラックス効果は本当?科学的根拠を検証

by tokyoplants 編集部

「観葉植物を置くと癒される」——なんとなく実感としては分かるものの、これは気のせいなのか、それとも科学的な根拠があるのか。この記事では、実在する研究をもとに、観葉植物のリラックス効果について何がどこまで分かっているのかを整理します。

空気清浄効果のある観葉植物 TOP5では空気質への影響を扱いましたが、今回はメンタル・生理面への影響に焦点を当てます。

結論(最初に答え)

観葉植物と関わることで、交感神経の緊張が和らぎ、心理的な快適感が高まることを示した研究は複数存在します。ただし、これらの研究の多くは被験者数が少ない小規模な実験であり、「観葉植物さえ置けばストレスが解消される」と断定できるほど強固な結論には至っていません。過度に期待せず、あくまで生活の中の一つの心地よい要素として捉えるのが妥当です。

実在する研究から分かっていること

千葉大学の研究:植物の植え替え作業と安静時の比較

千葉大学の研究グループが2015年に "Journal of Physiological Anthropology" 誌に発表した研究では、24人の若年男性を対象に、室内植物の植え替え作業と、コンピューター作業(対照条件)を行ってもらい、心拍変動・血圧・主観評価(快適感・自然感・リラックス感など)を比較しました。

その結果、植物に関わる作業を行った後は、コンピューター作業後と比べて交感神経系の活動を示す指標が低下し、主観的な快適感・リラックス感が高まったことが報告されています(Lee, Lee, Park, Miyazaki, 2015, Journal of Physiological Anthropology)。

ポイントは、この研究が示したのは「植物を眺めるだけ」ではなく「植物に触れる・世話をする」という能動的な関わりの効果だという点です。水やりや植え替えといった作業そのものが、リラックス効果に関わっている可能性があります。

Ulrich(1984)の窓辺研究:自然の眺めが回復に与える影響

観葉植物そのものを対象にした研究ではありませんが、自然物が人の心身に与える影響を語るうえで欠かせないのが、Roger Ulrich が1984年に "Science" 誌に発表した研究です。

この研究は、胆嚢の外科手術を受けた患者46人を対象に、病室の窓から樹木が見える部屋レンガの壁しか見えない部屋とで、術後の入院日数や鎮痛剤の使用量、看護記録上の評価を比較したものです。その結果、樹木が見える部屋の患者の方が入院日数が短く、鎮痛剤の使用量も少なかったことが報告されています。

これは「観葉植物のリラックス効果」を直接示した研究ではなく、あくまで窓越しの自然の眺めについての知見です。ただし、緑や自然物が人の生理的な回復・ストレス反応に何らかの影響を与えうるという「バイオフィリア(生物親和性)」研究の基礎として、しばしば引用されます。

森林の生理的リラックス効果研究との違い

千葉大学の宮崎良文名誉教授らは、森林環境が人の自律神経活動やストレスホルモンに与える影響について長年研究を続けています。これらは「森林浴(shinrin-yoku)」を対象とした研究であり、室内の鉢植え観葉植物とは環境の規模もスケールも大きく異なります。「森の研究で分かったことがそのまま部屋の鉢植えにも当てはまる」と単純に一般化するのは避けるべきです。

なぜ植物にリラックス効果があると考えられているのか(仮説レベルの整理)

現時点で完全に解明されているわけではありませんが、以下のような説明が提案されています。

  • 能動的な関わり(世話をする行為)がストレス反応を和らげる:前述の千葉大学の研究が示唆する経路
  • 視覚的な自然物への接触が心理的な快適感を高める:バイオフィリア仮説に基づく説明
  • 緑色という色彩が視覚的に穏やかな印象を与える:色彩心理学的な説明(直接的な検証は限定的)

いずれも「一定の関連は示されているが、因果関係やメカニズムが完全に解明されているわけではない」という段階にあります。

よくある誤解・過度な期待への注意

誤解1: 「観葉植物を置けばストレスがなくなる」

研究が示しているのは「和らぐ」「低下する傾向がある」という統計的な差であり、劇的にストレスがゼロになるという結果ではありません。過度な期待は禁物です。

誤解2: 「眺めるだけで十分な効果がある」

千葉大学の研究が示した効果は、植物を眺めるだけでなく「植え替え」という能動的な作業を伴う条件での結果です。世話をする・触れるという関わり方も、効果を考えるうえで重要な要素かもしれません。

誤解3: 「どんな研究データも観葉植物に当てはまる」

森林浴研究や病室の窓の研究など、対象の規模や条件が異なる研究結果を、そのまま室内の鉢植えの効果として引用するのは慎重になるべきです。この記事でもその違いを区別して紹介しています。

まとめ

  • 千葉大学の研究(Lee, Lee, Park, Miyazaki, 2015)は、植物の世話をする行為が交感神経の緊張を和らげ、主観的な快適感を高める可能性を示している
  • Ulrich(1984)の窓辺研究は観葉植物そのものの研究ではないが、自然物が人の回復に影響しうるという知見の基礎として広く引用される
  • 森林浴研究の知見をそのまま室内の観葉植物に当てはめるのは適切ではない
  • 現時点の科学的根拠は「一定の関連が示されている段階」であり、断定的な効果を謳うのは避けるべき

観葉植物のリラックス効果について、確実に言えるのは「多くの人が植物のある暮らしを心地よいと感じている」という実感レベルの価値です。科学的な裏付けを過信せず、生活を豊かにする一要素として植物と付き合っていくのが、いま分かっている範囲でのバランスの良い向き合い方だといえます。


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