フィロデンドロンの増やし方|茎伏せ・水挿しで確実に発根させる方法
Contentsこの記事の内容8項目
フィロデンドロンはつる性種と自立型種で成長のしかたが大きく異なるため、増やし方も種類によってコツが変わります。日常の育て方や品種選びはフィロデンドロン初心者におすすめの品種5選で解説しているので、この記事では茎伏せ・水挿し・土挿しの具体的な手順と、発根しない・腐る原因にしぼって解説します。
- 絶対条件
- 節と気根を含めて切る(サトイモ科共通)
- 適期
- 5〜8月。気温が下がる時期は発根がほぼ止まる
- つる性
- 水挿し・土挿し/匍匐性:茎伏せ/自立型:株分け
- 発根まで
- 3〜6週間が目安
- 鉢上げ
- 根が3cm以上に伸びてから
- 失敗の主因
- 気根なし・低温・水の汚れ・湿度不足
結論(最初に答え)
フィロデンドロンの増やし方で押さえるべきポイントは次の3つです。
- 節と気根を含めて切ることが発根の絶対条件(モンステラやポトスと同じサトイモ科の性質)
- つる性種(ブラジル・シルバーソードなど)は水挿し・土挿し、地を這うタイプ(グロリオサムなど)は茎伏せが向く
- 適期は気温が安定する5〜8月。低温期は発根が極端に遅くなる
フィロデンドロンはサトイモ科のため、モンステラやポトスと同様に気根を起点として発根します。茎の形状(つる性か、地を這うクリーパータイプか、自立型か)に合わせて方法を選ぶことが、成功率を左右します。
Pick Up — この記事で使う用土
まず手元の株のタイプを見極める
フィロデンドロンは属内で茎の伸び方が大きく異なり、それがそのまま「向いている増やし方」を決めます。品種名がわからなくても、茎がどこへ向かって伸びているかを見れば判別できます。
| 品種タイプ | 見分けるサイン | 代表種 | 向いている増やし方 | 発根までの目安 |
|---|---|---|---|---|
| つる性種 | 茎が上や横へ長く伸び、節ごとに気根が突き出している | ブラジル、シルバーソード、ミカンス、ホワイトプリンセス | 水挿し・土挿し | 3〜6週間 |
| クリーパー(匍匐)タイプ | 太い茎が地表を横に這い、葉柄が茎から順に立ち上がる | グロリオサム、マジェスティック | 茎伏せ | 数週間〜(新芽の展開まで) |
| 自立型種 | 茎がほとんど伸びず株元から放射状に葉が出る | セローム、ロジョコンゴ、バーキン | 株分け | 子株の根の育ち具合次第 |
発根の起点になるのは、どのタイプでも節から出る気根です。つる性種は気根が茎の外に飛び出しているので分かりやすく、匍匐タイプは茎の下面から地面に向けて出ています。自立型種は節が詰まっていて切り分けにくいため、挿し木より株分けが現実的です。

同じフィロデンドロンでも、茎の伸び方によって得意な増やし方がまったく違う。まずは手元の株がどのタイプかを見極めることが、増やし方選びの第一歩だよ。
つる性種:水挿しと土挿し
つる性種はどちらの方法でも発根しますが、得意なことが違います。
結論
水挿しと土挿し、どちらを選ぶか
水挿し
発根を目で見て確認したい人向け
- ✓根の伸び具合が毎日わかる
- ✓道具は容器と水だけで始められる
- ✓水根から土根への切り替えで一度つまずきやすい
- ✓水替えを怠ると一気に腐る
土挿し
鉢上げまで一度で済ませたい人向け
- ✓発根後そのまま育てられ植え傷みが少ない
- ✓根が最初から土に適応する
- ✓発根したかが外から見えない
- ✓湿度をキープする工夫が必要
水挿し・土挿しの手順
- 1切る位置を決める節から気根が出ている位置を探し、その2〜3cm下でカットする。葉2〜3枚・気根1〜2個を含む10〜15cmが目安
- 2下葉を外す水や土に浸かる位置の葉を1〜2枚取り除く。葉が水に触れると腐敗の起点になる
- 3水挿しの場合気根が浸かる高さまで水を入れ、直射日光を避けた明るい場所に置く。水は3〜5日に1回、濁る前に交換する
- 4土挿しの場合切り口を30分〜数時間乾かしてから、湿らせた挿し木用土に挿す。透明な袋やドームで覆って湿度を保つ
- 5発根を確認する3〜6週間で発根。水挿しは根が見え、土挿しは軽く引いて抵抗があれば発根のサイン
- 6鉢上げする根が3cm以上に伸びたら、排水性の高い用土に植え付ける

挿し木用土はパーライトを多めに混ぜて、通気性を優先した配合にするのがコツ。根が出るまでは肥料気のない清潔な土の方が、雑菌が繁殖しにくくて安心だよ。
水挿しから土へ移すときの注意
水中で伸びた根(水根)は、土中の根とは組織の作りが違い、そのまま土に植えると一部が機能しなくなります。根が長く伸びすぎてから移すほどこの差が大きくなるため、3〜5cm程度の短いうちに鉢上げするのが結果的に一番スムーズです。移植後1〜2週間は土を完全に乾かさず、やや湿り気味に保って新しい根の発生を促します。
クリーパータイプ:茎伏せ
グロリオサムのように地表を這って伸びる品種は、茎伏せが最も確実です。詳しい性質はフィロデンドロン・グロリオーサムで解説しています。
- 1茎を寝かせる気根が複数出ている茎を、湿らせた土やミズゴケの上に横向きに置く
- 2気根を埋める気根が接する部分を軽く覆う。成長点(先端)と葉柄の付け根は埋めない
- 3湿度を確保するビニールで覆う、または室内温室に入れて高湿度を保つ
- 4発根を待つ数週間で気根から根が伸び、埋めた節から新芽が立ち上がる
- 5切り離す新芽が展開し、自立して葉を出すようになってから親株と切り分ける
匍匐タイプは水挿しでも発根はしますが、本来の増え方ではないため成功率・速度ともに劣ります。可能な限り茎伏せを選んでください。

茎伏せでいちばん失敗しやすいのは、覆いをしたまま直射日光に当ててしまうこと。袋の中が高温になって一気に蒸れるから、明るい日陰に置いて、1日1回は袋を開けて空気を入れ替えてあげてね。
自立型種:株分け
セロームやロジョコンゴなど自立型の品種は、株元から自然に子株が発生することがあります。子株の根がある程度育ってから、清潔な刃物で親株と切り分け、そのまま鉢に植え付けます。手順の考え方はピレア・ペペロミオイデスの子株の増やし方の株分け手順も参考になります。
切り分けた面は風通しのよい日陰で数時間乾かしてから植え付けてください。園芸用の殺菌剤は観葉植物に適用がないものが多く、使う場合はラベルの適用表で対象作物を必ず確認する必要があります。基本は「清潔な刃物で切って乾かす」で十分です。
発根後の管理
根が3cm以上に育ったら鉢上げの目安です。独立直後の1〜2週間は直射日光を避けた明るい場所で養生し、土が完全に乾いてから水を与える程度の控えめな管理にします。肥料は新芽が動き出してから、規定の半分程度の濃さで再開します。
植え付けに使う用土は、通気性の高い観葉植物用の配合が扱いやすく、I'm original SOIL(tokyoplantsプレミアム培養土)のような排水性に配慮した培養土なら、そのまま挿し木苗の鉢上げにも使えます。

鉢上げ直後は新芽が動くまでちょっと我慢の時間。焦らず様子を見ていれば、根が土に馴染んだサインとして新芽がちゃんと顔を出してくれるよ。作業した日をアプリの育成ログに残しておくと、「何週目で動いたか」が次の挿し木の判断材料になるよ。
詳しい植え替えの手順はフィロデンドロンの植え替えガイドを参照してください。
うまくいかないときの見分け方
「発根しない」と「腐りかけている」は対処がまったく違います。挿し穂の状態から切り分けてください。
| 挿し穂の状態 | 見分けるサイン | 原因 | 対処 | 見込み |
|---|---|---|---|---|
| 変化がないが緑を保っている | 茎に張りがあり、切り口が白いまま | まだ発根期間中/低温 | そのまま待つ。25℃前後を確保する | 待てば発根する |
| 気根が茶色く硬いまま伸びない | 気根の先端が乾いて割れている | 湿度不足で気根が乾燥 | 袋やドームで湿度60〜70%を確保 | 回復しやすい |
| 切り口が黒く柔らかい・ぬめる | 押すとつぶれる。水が濁って臭う | 雑菌の繁殖(水替え不足・高温) | 傷んだ部分の上で切り直し、乾かして挿し直す | 早期なら救える |
| 茎全体が透けて柔らかい | 葉まで黄変し張りがない | 腐敗が節を越えて進行 | この穂は諦め、別の節から取り直す | 回復は難しい |
| 葉だけが落ちて茎は硬い | 茎は緑で締まっている | 移動・乾燥によるストレス | 明るい日陰で湿度を保って継続 | 節から新芽が出る |
発根しない・腐る原因トップ5
- 気根を含めずに切っている:発根の起点がないため、何週間待っても変化が起きません。つる性種で最も多い失敗です
- 低温期に挑戦している:気温が下がる時期は発根がほとんど進みません。5〜8月まで待つのが確実です
- 水を交換していない:水挿しで水を替えないと雑菌が繁殖し、切り口から腐敗が進みます
- 湿度が保てていない:茎伏せ・土挿しは高湿度が前提です。乾燥した環境では気根からの発根が進まず、茎自体が乾いて傷みます
- タイプに合わない方法を選んでいる:匍匐タイプを水挿しで扱う、自立型種を無理に挿し木するなど。まず茎の伸び方を見極めてください
属を問わない発根トラブルの共通原因は挿し木・水挿しが発根しない・腐る原因と対策でも整理しています。
まとめ
- フィロデンドロンはサトイモ科のため、気根を含めて切ることが発根の絶対条件
- つる性種は水挿し・土挿し、匍匐タイプは茎伏せ、自立型種は株分けが向く
- 適期は気温が安定する5〜8月
- 水挿しは3〜5日おきの水替え、茎伏せは高湿度の維持が成否を分ける
- 「変化がない」のか「腐り始めている」のかを切り分けてから手を打つ
品種のタイプに合った増やし方を選べば、フィロデンドロンは家庭でも十分に増殖を楽しめる植物です。
→ 関連商品リンク: 観葉植物の土『 I'm original SOIL(tokyoplantsプレミアム培養土) 』
→ 関連記事: フィロデンドロン初心者におすすめの品種5選 / 挿し木・水挿しが発根しない・腐る原因と対策 / フィロデンドロンの植え替えガイド
この記事を書いた人

Masashi Matsubuchi / tokyoplants
tokyoplants オーナー
東京・世田谷を拠点とする希少観葉植物専門店「tokyoplants」オーナー。自ら海外へ足を運んで一点ずつ厳選した株を買い付け、年間800株以上を自身の手で育てて販売しています。
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