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ピレア・ペペロミオイデス|コインのような丸葉が可愛いパンケーキプランツ図鑑
植物図鑑

ピレア・ペペロミオイデス|コインのような丸葉が可愛いパンケーキプランツ図鑑

by tokyoplants 編集部

丸くて平らな葉が長い葉柄の先にぷかぷかと浮かぶように連なる——ピレア・ペペロミオイデス(Pilea peperomioides)は、その愛らしいフォルムから「パンケーキプランツ」「コインの木」「UFOプランツ」などさまざまな愛称で呼ばれる観葉植物だ。中国雲南省の限られた山岳地帯にひっそり自生していたこの植物が、一人のノルウェー人宣教師の手によって世界中に広まったという来歴も含めて、多くの愛好家を惹きつけている。この記事では基本情報から名前の由来、育て方まで図鑑形式で詳しく解説する。


結論

  1. ピレア・ペペロミオイデスは、たった一人が持ち帰った株から「株分け(子株の株分け)」で世界中に広まった珍しい経歴を持つ植物。 学術的な流通ルートを経ず、友人から友人へと苗が手渡されて広まったため「フレンドシッププラント(友情の植物)」とも呼ばれる。
  2. 育て方自体は比較的簡単で、初心者にも扱いやすい部類。 明るい間接光と「土が乾いてから水やり」を守れば、大きなトラブルは起きにくい。
  3. 株元から子株(オフセット)を次々と出すのが最大の魅力かつ増やし方の基本。 子株を切り分けて鉢上げすれば、簡単に株を増やして周囲にお裾分けできる。

基本情報

項目 内容
学名 Pilea peperomioides Diels
科・属 イラクサ科(Urticaceae)ピレア属
原産地 中国雲南省(蒼山山脈の麓)
生育型 常緑多年草・直立性
草丈 室内管理で20〜40cm程度
葉の形 円形・コイン状(葉柄が葉の中央につく盾状葉)
耐寒性 弱い(最低気温10℃以上を維持)
難易度 ★★☆☆☆(初心者向け)
毒性 特に報告なし(ペットに対する強い毒性報告は少ない)

ピレア・ペペロミオイデスとは

ピレア・ペペロミオイデスは、イラクサ科ピレア属の常緑多年草です。イラクサ科と聞くと刺のあるトゲトゲした印象を持つ方もいるかもしれませんが、本種に刺激成分のある毛(刺毛)はなく、触れても問題ありません。

最大の特徴は、長い葉柄の先端に葉の中央がつく「盾状葉(じゅんじょうよう)」と呼ばれる丸い葉です。葉は光沢のある明るいグリーンで、直径5〜10cm程度の円形をしています。この葉が茎に沿って規則正しく展開する姿が、コインが連なっているように見えることから「コインの木」「マネープラント」の愛称でも呼ばれます(ただし「マネーツリー」の名で呼ばれるパキラとは別種です)。

種小名の peperomioides は「ペペロミア属(Peperomia)に似た」という意味のラテン語で、葉の形状がペペロミア属の一部の種に似ていることに由来します。実際にはペペロミア属(コショウ科)とは科レベルで異なる植物です。


名前の由来・来歴

中国雲南省での発見

ピレア・ペペロミオイデスの学術的な発見は、20世紀初頭に遡ります。イギリス人の植物採集家ジョージ・フォレスト(George Forrest)が1906年と1910年、中国雲南省の蒼山(Cangshan)山脈で本種を採集し、標本として記録しました。この時点では西洋の園芸界にはほとんど知られていませんでした。

ノルウェー人宣教師による持ち出しと「友情の植物」としての広まり

本種が世界に広まった経緯は非常にユニークだ。 1945年、ノルウェー人宣教師アグナル・エスペグレン(Agnar Espegren)が中国・湖南省から避難する途中、雲南省の昆明で本種の生きた株を入手した。彼はこれを荷物に加え、インドのカルカッタで約1年を過ごした後、1946年にノルウェーへ持ち帰った。

ノルウェーに定着したエスペグレンは、株分けで増やした苗を各地の友人・知人に配って歩きました。そこからさらに友人から友人へと苗が渡り、北欧全域に広まっていったのです。この経緯から、本種は北欧で「フレンドシッププラント(venskapsplanten/友情の植物)」と呼ばれるようになりました。学術的な流通ルートをほとんど経ずに市民の手だけで広まったため、西洋の植物学界に本種の存在が正式に認識され、学名が確定したのは1980年代とかなり遅れています。

SNSで再ブレイク

北欧で長く親しまれてきた本種は、2010年代半ばにInstagramなどのSNSを通じて世界的な人気に火がつきました。ミニマルでフォトジェニックな見た目と、株分けで簡単に増やせる特性が「シェアしやすい植物」として若い世代に広く受け入れられ、現在では世界中の園芸店やインテリアショップで定番の観葉植物となっています。


特徴

光に向かって傾く性質

ピレア・ペペロミオイデスは光源のある方向に向かって茎や葉を傾ける性質が強い植物です。同じ向きで置き続けると、株全体が窓の方向に大きく傾いてしまいます。左右対称の美しい樹形を保つには、週に1回程度、鉢を90〜180度回転させて全方向に均等に光を当てる工夫が効果的です。

株元から次々と子株を出す

成熟した株は、株元や地下茎から次々と子株(オフセット、通称「ベビー」)を発生させます。この子株は根がついた状態で自然に増えていくため、株分けによる繁殖が非常に容易です。この旺盛な子株の発生こそが、本種が「友情の植物」として世界中に広まった生物学的な理由でもあります。

葉柄が葉の中央につく盾状葉

一般的な葉は葉柄が葉の縁(基部)につながりますが、ピレア・ペペロミオイデスの葉は葉柄が葉の裏側中央付近につながる盾状葉(peltate leaf)という構造をしています。この構造により葉が水平に近い角度で展開し、コインが浮いているような独特の見た目になります。


育て方

明るい間接光と「土の表面が乾いたらたっぷり水やり」を基本に、排水性の良い用土(パーライトを2割程度追加した観葉植物用土など)で管理すれば、初心者でも大きなトラブルなく育てられます。生育適温は18〜27℃で、10℃を下回ると生育が停止するため冬は室内の暖かい場所で管理しましょう。光源に向かって傾く性質が強いため、週1回程度の鉢の回転も欠かせません。

置き場所・水やり・用土・肥料の具体的な数値や、光に傾く性質への対処法、下葉が落ちたときの切り戻しの手順まで詳しくはピレア・ペペロミオイデスの育て方|子株の増やし方で解説しています。


よくあるトラブル

葉が黄色くなって落ちる

原因候補: 過湿による根腐れ、または自然な下葉の代謝。 切り分け: 複数枚が同時に黄変する場合は過湿を疑い、土の状態を確認する。1〜2枚がゆっくり黄変する程度なら自然な新陳代謝。 対処: 過湿が疑われる場合は水やり頻度を減らし、必要であれば根の状態を確認して植え替える。

茎が大きく傾く・間延びする

原因候補: 光が一方向からしか当たっていない、または光量不足。 対処: 定期的に鉢を回転させる。間延びが著しい場合は明るい場所に移動し、伸びすぎた茎は切り戻す。

葉に白い斑点・粉のようなものが出る

原因候補: 水道水中のミネラル分(カルキ)が葉の裏に付着する生理現象、またはハダニなどの害虫。 切り分け: 拭き取れる白い粉状のものはミネラル付着、動く小さな点が見えればハダニ。 対処: ミネラル付着であれば柔らかい布で優しく拭き取る。害虫の場合はシャワーで洗い流し、必要に応じて薬剤を使用する。


増やし方

株分け(最も一般的・確実)

株元や地下茎から発生した子株を、根がついた状態で切り分けます。切り分けた子株はそのまま新しい鉢に植え付けるだけで独立した株として育ちます。この方法が最も成功率が高く、本種が広まった歴史的な増やし方でもあります。

水挿し・葉柄挿し

子株を切り分けた直後に水に挿しておくと、追加の発根を促せます。透明な容器で2〜4週間ほど管理し、根が十分に伸びたら土に植え替えます。

茎挿し

茎が間延びした場合、上部を10cm程度切り取って挿し木にすることもできます。切り口を1日ほど乾かしてから、湿らせた用土または水に挿すと発根します。


まとめ

  1. ピレア・ペペロミオイデスは、中国雲南省からノルウェーを経由して「友情の植物」として世界中に広まった、来歴自体がユニークな観葉植物。
  2. 育て方は明るい間接光と「乾いたらたっぷり」の水やりを守るだけとシンプルで、初心者にも扱いやすい。
  3. **株元から次々と出る子株を株分けすれば簡単に増やせる。**その増えやすさこそが「友情の植物」という愛称の由来であり、本種最大の魅力でもある。

コインのような愛らしい葉と、増やして誰かに分けたくなる気軽さ。ピレア・ペペロミオイデスは、見た目の可愛さだけでなく、育てる楽しさそのものを味わえる植物だ。ぜひ子株を株分けして、自分だけの「友情の植物」を育ててみてほしい。

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