アグラオネマの増やし方|挿し木・株分け・水挿し
Contentsこの記事の内容10項目
下葉が落ちて茎だけが伸びてしまった株、鉢からあふれそうなほど増えた株——どちらも「増やしどき」のサインです。アグラオネマは株分け・茎挿し・水挿しの3通りで増やせて、しかも切り戻した親株からも新芽が出るため、仕立て直しと増殖を同時にこなせます。この記事では、3つの方法の使い分けと具体的な手順、発根しないときの切り分けまでを扱います。
- 適期
- 5〜6月。遅くとも7月まで
- 株分け
- 植え替えと同時が最も効率的
- 茎挿し
- 茎を10〜15cm切り、1〜2日乾かして挿す
- 水挿し
- 様子が見える。発根まで3〜5週間
- 温度
- 作業後も20℃以上を保つ
- 注意
- 樹液が皮膚を刺激する。手袋を使う
結論
- 株が横に増えているなら株分け、縦に間延びしているなら茎挿し。この見分けだけで方法はほぼ決まります。水挿しは茎挿しの一形態で、発根の様子を見ながら進めたい人向けの選択肢です。
- 適期は5〜6月。気温が上がりきる前の、これから成長する時期に作業すると発根が早く、親株の回復も早くなります。
- 最大の失敗は「寒い時期にやること」。アグラオネマは15℃を下回ると成長が止まるため、秋以降の挿し木はほぼ発根せず、切り口から腐ります。
Pick Up — この記事で使う用土
3つの方法の使い分け
| 方法 | 向いている株 | 増える数 | 失敗しにくさ | 発根までの目安 |
|---|---|---|---|---|
| 株分け | 根元から複数の茎が立ち、鉢が窮屈な株 | 2〜3株 | ◎ すでに根がある | 作業後すぐ定着 |
| 茎挿し(土挿し) | 下葉が落ちて茎が長く伸びた株 | 1〜数本 | ○ | 3〜5週間 |
| 水挿し | 同上。発根を目で確かめたい場合 | 1〜数本 | ○ | 3〜5週間 |
アグラオネマは根元から複数の茎を出して叢生(そうせい)する性質があるため、時間が経った株は自然に株分けできる形になります。一方、1本の茎が立ち上がって下葉を落としていくタイプの育ち方をしている場合は、株分けできる単位がないので茎挿しを選びます。

茎挿しで増やせるのは、アグラオネマの茎に節があって、そこに潜伏芽と根の原基が備わっているから。節がない途中の部分だけを切っても根は出ない。切る位置を決めるときは必ず節を確認して。
適期:5〜6月に作業する
真夏(8月)を外しているのは、気温が高すぎると切り口から雑菌が入りやすく、親株の消耗も大きいためです。5〜6月に作業して、夏のあいだに根を張らせるのが最も安定します。
方法1:株分け
植え替えと同じタイミングで行うのが最も効率的です。根鉢を崩す作業が1回で済み、親株へのダメージも1回にまとめられます。
- 1前日に水をやっておく乾ききった根鉢は崩すときに折れやすい
- 2鉢から抜いて土を落とす古い土を1/3ほど落とし、茎がどこで分かれているかを確認する
- 3手で裂けるところは手で分ける無理に引っ張らず、自然に分かれる線を探す。1株に茎2〜3本と根が付くのが目安
- 4離れないところだけ刃物を使う清潔なハサミかナイフで、根を潰さないよう一度で切る
- 5切り口を1〜2時間乾かすすぐ植えず、風通しのよい日陰で表面を乾かす
- 6一回り小さめの鉢に植える分けた株に対して鉢が大きすぎると土が乾かず根腐れする
- 7水をたっぷり与えて明るい日陰で2週間養生直射日光と肥料は避ける
株分け後の鉢は、分けた株のサイズに見合った小さめのものを選んでください。「大きく育てたいから大きい鉢」は、アグラオネマでは逆効果になります。
方法2:茎挿し(土に挿す)
下葉が落ちて茎が露出した株を若返らせる方法です。切り戻した親株の茎からも新芽が出るため、1回の作業で株が2つになります。
- 1茎を10〜15cm切り取る節が2つ以上含まれるようにする。上部の葉は2〜3枚残し、下のほうの葉は落とす
- 2切り口を1〜2日乾燥させる風通しのよい日陰に置く。この工程を飛ばすと腐敗率が上がる
- 3清潔な培地を用意する赤玉土小粒・鹿沼土・バーミキュライトなど、肥料を含まない無機質の用土が扱いやすい
- 4節が1つ埋まるように挿す深く挿しすぎない。グラつくなら支柱で固定する
- 5明るい日陰に置き、培地を乾かさない直射日光は厳禁。受け皿に水を溜めない
- 63〜5週間で発根する軽く引いて抵抗があれば根が出ている。頻繁に引き抜いて確認しない
- 7新葉が展開したら通常の培養土へこのタイミングから徐々に明るい場所に慣らす
切り戻した親株は、残した茎の節から新芽が出ます。切り口はそのままでかまいません。親株の用土が古くなっているようなら、このタイミングで植え替えも済ませると効率的です。
方法3:水挿し
茎挿しと同じ切り方をして、培地ではなく水に挿す方法です。根が出る過程を目で確認できるため、はじめて増やす人には判断がしやすい方法です。
手順
- 1茎を10〜15cmで切り、1〜2日乾かすここまでは茎挿しと同じ
- 2節が1つ水に浸かる深さにする葉は水に触れさせない。水に沈んだ葉は必ず腐る
- 3透明な容器に入れ、明るい日陰に置く直射日光が当たると水温が上がり、藻が出る
- 4水は3〜4日に一度、全量を交換する足すのではなく、容器を洗って入れ替える
- 53〜5週間で白い根が伸びてくる2〜3cmになったら次の段階へ
- 6根が3〜5cmになったら用土へ移す長く伸ばしすぎないほうが移行は楽
水根から土へ移すときのコツ
水の中で出た根(水根)は、土の中で出る根と構造が違い、空気に触れる環境に弱いという性質があります。水挿しで根を伸ばしすぎてから植えると、植えた直後に根が傷んで一時的に止まることがあります。
- 根は3〜5cmで切り上げる:10cmを超えるまで待つ必要はない
- 移植後1〜2週間は土を乾かしすぎない:水根が土の環境に慣れるまでの期間
- 移植後も明るい日陰に置く:根が働き始める前に蒸散を増やさない
- 肥料は1ヶ月待つ:新しい根に肥料は負担になる

水挿し中の容器は、エアコンの風が当たらない場所に置いてあげて。水が早く減る場所だと濃縮が進んで水が傷みやすいよ。発根した日を記録しておくと、次に増やすときの目安になる。Green Collectionの育成ログに残しておくと振り返りやすい。
発根しないときの切り分け
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 切り口が黒く柔らかくなる | 切り口を乾かさずに挿した/水温が高い | 黒い部分を切り戻し、乾かしてやり直す |
| 4週間経っても変化がない | 気温が低い(20℃未満) | 暖かい場所へ移す。15℃以下では発根しない |
| 水が白く濁る | 水の交換頻度が足りない | 容器を洗って全量交換。3〜4日に一度を守る |
| 葉だけ黄色くなって落ちる | 葉の枚数が多すぎて蒸散過多 | 残す葉を2〜3枚まで減らす |
| 根は出たが新葉が出ない | 鉢上げが早すぎた/光が足りない | 明るい日陰で待つ。根が3cm以上あれば焦らない |
| 節が入っていない | 切る位置の誤り | 節を2つ以上含む位置で切り直す |
よくある失敗例
秋・冬に挿し木をする
最も多い失敗です。アグラオネマは15℃を下回ると成長が止まり、切り口が塞がる前に腐敗が進みます。「葉が落ちて見苦しくなったから」と冬に切り戻したくなりますが、春まで待ってください。
切り口を乾かさずにすぐ挿す
切断面から水を吸ってくれそうな気がしますが、逆です。湿った切り口は雑菌の入り口になります。1〜2日の乾燥を省かないでください。
葉を全部残したまま挿す
根がない状態で葉から水分が抜け続けるため、発根前に力尽きます。残す葉は2〜3枚に絞ります。
発根したか気になって何度も引き抜く
伸びかけた根は非常に折れやすく、引き抜くたびにやり直しになります。確認するなら軽く引いて抵抗を見る程度にとどめてください。水挿しを選べばこの問題自体が起きません。
発根した株をすぐ日向に出す
根が出ても、吸水能力が戻るまでには時間がかかります。鉢上げから2週間は明るい日陰で、その後徐々に明るい場所へ移してください。
よくある質問
葉挿しはできますか?
できません。アグラオネマは節にある芽から新しい茎を出すため、葉だけを切り取っても根は出ても芽は出ません。必ず節を含む茎を使ってください。
発根剤は必要ですか?
必須ではありません。アグラオネマは発根しやすい部類で、適期・適温を守れば処理なしでも根が出ます。使う場合は切り口を乾かしたあとに粉末を薄くまぶします。
増やした株はいつから肥料を与えられますか?
新しい葉が1〜2枚展開してからが目安です。鉢上げ直後の施肥は、働きはじめたばかりの根を傷めます。
種から育てられますか?
可能ですが、現実的ではありません。アグラオネマは雌性先熟で自家受粉しにくく、花粉を運ぶ虫のいない室内では結実しません。人工授粉した場合でも、フロリダ大学の栽培解説によれば果実が熟すまで4〜6ヶ月(品種によっては1年)かかり、実生苗は評価できる大きさになるまでさらに約1年を要します。花と結実についてはアグラオネマの花で詳しく扱っています。
まとめ
- 横に増えた株は株分け、縦に間延びした株は茎挿し。水挿しは茎挿しの発展形
- 適期は5〜6月。15℃を下回る時期の作業は発根せず腐る
- 茎は10〜15cm、節を2つ以上含めて切り、1〜2日乾かしてから挿す
- 発根は3〜5週間。水挿しの根は3〜5cmで用土へ移す
- 切り戻した親株からも新芽が出るので、仕立て直しと増殖を同時にできる
用土には排水性を確保した観葉植物用培養土を使ってください。配合の考え方はアグラオネマの土おすすめと配合レシピにまとめています。
この記事を書いた人

Masashi Matsubuchi / tokyoplants
tokyoplants オーナー
東京・世田谷を拠点とする希少観葉植物専門店「tokyoplants」オーナー。自ら海外へ足を運んで一点ずつ厳選した株を買い付け、年間800株以上を自身の手で育てて販売しています。
プロフィールを見る →tokyoplants で購入する
ショップを見る →Next Read
読了後におすすめの記事
tokyoplants Shop
tokyoplants で購入する
Instagram で最新情報をチェック
入荷情報・育て方のコツを発信中
関連記事
Popular
よく読まれている記事
tokyoplants MEDIAでいま読まれている記事です。











