アグラオネマの害虫・病気|症状別の対処
Contentsこの記事の内容10項目
アグラオネマは丈夫な部類の観葉植物ですが、それでも葉裏にハダニがつき、株元にカイガラムシが潜み、梅雨時には葉に斑点が出ます。やっかいなのは、原因が違っても見た目が似ていることです。この記事では、症状から原因を絞り込む手順と、原因別の具体的な対処、そして「その薬を観葉植物に使っていいのか」という確認の仕方までを整理します。
- 最多
- ハダニ。冬の乾燥した室内で増える
- 次点
- カイガラムシ。葉の付け根と茎に潜む
- 病気
- 細菌性の軟腐。腐敗臭が決め手
- 原則
- 薬より先に物理除去と環境改善
- 薬剤
- ラベルに「花き類・観葉植物」の行があるか確認
- 予防
- 風通し・水のやりすぎ回避・持ち込み時の隔離
結論
- まず「虫がいるか」「腐敗臭があるか」の2点を見る。虫が見つかれば害虫、臭いがあれば細菌性、どちらもなければ環境要因(光・水・乾燥)です。この3分岐で対処がほぼ決まります。
- 薬剤は最後の手段。アグラオネマは室内の1〜数鉢で管理することがほとんどなので、葉を洗う・綿棒で取るといった物理除去のほうが速く、確実で、安全です。
- 細菌性の軟腐だけは別格。腐敗臭を伴う病斑が出た株は、薬で治せません。発見したら隔離し、感染部を切るか株ごと処分します。
Pick Up — この記事で使う用土
症状から原因を絞る
| 見えている症状 | 最も疑わしい原因 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 葉裏に白い点、葉表にかすれた白い斑点 | ハダニ | 葉裏に細かい網(クモの巣状)がないか |
| 葉の付け根や茎に白い綿のような塊 | コナカイガラムシ | 動くか。動かない殻状ならカイガラムシ |
| 葉がベタつく、黒いすすのような汚れ | カイガラムシ・アブラムシの排泄物 | 葉の裏と茎の節を確認 |
| 新芽に小さな緑や黒の虫が群がる | アブラムシ | 新芽・花序の柄に集中しているか |
| 触ると小さな白い虫が舞い上がる | コナジラミ | 葉裏に白い粒(幼虫)がないか |
| 葉に細かいかすり傷、銀色の筋 | アザミウマ | 葉を揺すって細長い虫が落ちるか |
| 土の表面から小さな黒いハエが出る | キノコバエ類 | 用土が常に湿っていないか |
| 水浸状の病斑が広がり、腐敗臭がする | 細菌性の軟腐・葉枯 | 病斑の縁がにじんでいるか |
| 褐色の斑点が輪郭を持って広がる | 糸状菌(カビ)による斑点性の病気 | 斑点に同心円状の模様や黒い粒がないか |
| 下葉が複数枚同時に黄変し土が乾かない | 根腐れ(病害ではなく酸欠) | 株元が柔らかくないか |

症状を見つけたら、まず葉裏と茎の付け根を明るいところで確認して。アグラオネマは葉が重なりやすいから、株の内側は見落としがち。スマホのライトを当てて葉を1枚ずつめくるのが確実だよ。
害虫編
ハダニ:冬の室内で最も多い
0.5mm程度の非常に小さなダニで、葉裏に寄生して吸汁します。乾燥した環境で爆発的に増えるため、暖房で湿度が30〜40%まで落ちる冬が最大の発生期です。葉表から見ると白いかすり状の脱色が広がり、進行すると細かい網が張られます。
- 対処:まず葉裏を流水かシャワーでしっかり洗い流す。ハダニは水に弱い
- 繰り返す:卵には効かないので、5〜7日間隔で複数回
- 湿度を上げる:葉水と加湿で再発しにくい環境にする
- 薬剤:「花き類・観葉植物」にハダニ類の登録がある製品のみ使用する
詳しい系統とローテーションの組み方はハダニ対策ガイドにまとめています。
カイガラムシ・コナカイガラムシ:葉の付け根に潜む
アグラオネマは葉が密に重なって株元が見えにくいため、カイガラムシの発見が遅れがちです。白い綿状の塊(コナカイガラムシ)や、茶色く硬い殻(カイガラムシ)が、葉柄の付け根や茎の節に付着します。
- 対処:物理除去が基本。綿棒や柔らかい歯ブラシでこすり落とし、洗い流す
- 成虫の殻には薬が効きにくい:殻の下の虫体に薬剤が届かないため、落としてからの処理が効率的
- 薬剤:「花き類・観葉植物」にカイガラムシ類の登録がある家庭向け製品は、今回確認した範囲ではカイガラムシエアゾール(登録第23518号)だけです。「コナカイガラムシ類」と限定した登録は、花き類・観葉植物には確認できませんでした
詳しい見分け方と駆除の進め方はカイガラムシ対策ガイドを参照してください。
アブラムシ・コナジラミ・アザミウマ
いずれも新芽や葉裏につく吸汁性の害虫です。アグラオネマでは、屋外に出した時期や、他の植物から移ってくるケースが大半です。
- アブラムシ:新芽や花序の柄に群生する。粘着テープや水流で落とせる
- コナジラミ:触ると白い成虫が舞う。黄色の粘着トラップで成虫を減らしつつ葉裏を処理
- アザミウマ:葉に銀色のかすり傷。被害が出てから気づくことが多い
キノコバエ類:土から出る小さなハエ
植物そのものより、常に湿った用土が原因です。有機物の多い用土を使い、水やり間隔が短いと発生します。
- 対処:用土の表面をしっかり乾かす。表土を無機質の化粧砂で覆うと産卵を減らせる
- 用土を見直す:有機物が多すぎない排水性のある配合に変える
- 薬剤:「花き類・観葉植物」にクロバネキノコバエ類の登録がある製品は4剤のみで、いずれも家庭向けスプレー剤ではありません。環境を乾かすほうが現実的です

コバエが出たら殺虫剤より用土を疑ってほしい。土の表面が常に湿っているということは、根も常に湿っているということ。アグラオネマにとってはコバエより根のほうが先に危ない。
病気編
細菌性の軟腐・葉枯病(最も警戒すべき病気)
アグラオネマには、細菌 Dickeya chrysanthemi(旧称 Erwinia chrysanthemi)による葉枯病・軟腐病が知られています。ハワイ大学CTAHRが公開しているアグラオネマ専用の病害解説(PD-64)によると、この病気の特徴は次のとおりです。
- 症状は葉の水浸状(透けたような)病斑から始まり、進行すると主茎がどろどろに腐り、強い腐敗臭を放つ
- 症状は葉の縁や傷口から始まることが多い。新しい葉が黄変して萎れることもある
- 進行が非常に速い。株全体に回る全身感染を起こすこともある
- 細菌は傷口や気孔などの自然開口部から侵入する
- 伝染は主に挿し穂・苗などの繁殖材料を介して起こるほか、刃物・用土・水の跳ね返りでも広がる
- 土や未分解の植物残渣の中で生き残り、症状を出さないまま他の植物に潜んでいることもある
同解説は「管理は基本的に耕種的防除(栽培管理)に頼る。感染株への殺菌剤散布はあまり効果がない」と明記しています。つまり、発病してからの薬剤散布には期待できません。
糸状菌(カビ)による葉の斑点
褐色〜黒褐色の斑点が輪郭を持って広がるタイプです。炭疽病に代表される病気で、高温多湿と、葉が濡れたままの時間が長いことが発生条件になります。
対処は細菌性と共通で、病葉を取り除き、葉を濡らさず、風通しを確保すること。
薬剤については注意が必要です。作物名「花き類・観葉植物」で炭疽病に登録がある製品は、今回確認した時点で農業用のチウラム水和剤2製品(チオノックフロアブル/登録第21525号、トレノックスフロアブル/登録第21875号)のみで、ホームセンターで一般に売られている家庭園芸用スプレーには該当がありません。家庭では薬に頼らず、病葉の除去と環境改善で抑えるのが現実的です。
なおうどんこ病と灰色かび病については、花き類・観葉植物に登録のある家庭向け製品が複数あります(後述の表を参照)。
根腐れは「病気」ではない
下葉が複数枚同時に黄変し、土がいつまでも乾かず、株元が柔らかい——これは病原菌の問題ではなく、水が多すぎて根が酸欠を起こしている状態です。薬剤では治りません。
対処は、鉢から抜いて黒く柔らかい根をすべて切り、新しい排水性のある用土に植え直すことです。手順は根腐れの原因と復活方法に、アグラオネマの黄変の切り分けは葉が黄色くなる原因と対策にまとめています。
観葉植物に登録のある薬剤
農林水産省の農薬登録情報提供システムで、作物名「花き類・観葉植物」の行が存在し、かつその行に対象の病害虫が登録されている家庭向け製品を整理しました(2026年10月22日確認)。
| 製品名 | 登録番号 | 花き類・観葉植物での適用 |
|---|---|---|
| ベニカXファインスプレー | 第22506号 | ハダニ類/アブラムシ類/コナジラミ類/アザミウマ類/ハモグリバエ類/ハスモンヨトウ/うどんこ病/灰色かび病(ばら・花月を除く) |
| ベニカナチュラルスプレー | 第24643号 | ハダニ類/アブラムシ類/コナジラミ類/ハスモンヨトウ/うどんこ病/灰色かび病(ばら・きく・アガベを除く) |
| カダンセーフ | 第20924号 | ハダニ類/アブラムシ類/コナジラミ類/うどんこ病(きくを除く) |
| アーリーセーフスプレー | 第22623号 | ハダニ類/アブラムシ類/うどんこ病 |
| カイガラムシエアゾール | 第23518号 | カイガラムシ類 |
| オルトランDX粒剤 | 第21733号 | アブラムシ類のみ(ばら・ベゴニア・はぼたん・ガーベラを除く) |
予防:環境を4つ整える
- 1風通しを作る空気が動かない場所は、ハダニにも細菌にも有利。サーキュレーターの弱風を壁に当てて空気を回す
- 2水やりは朝に、株元へ夜に葉が濡れたままだと病原菌が増える。頭上からかけず株元に注ぐ
- 3冬の湿度を50%以上に保つハダニ対策は湿度管理そのもの。加湿器が最も効く
- 4新しい株は2週間隔離する持ち込みが最大の感染源。買ってきた鉢をいきなり棚に並べない
このうち4番目の隔離は、手間のわりに効果が大きい対策です。CTAHRの解説でも、症状のある株を購入・導入しないこと、新しい鉢と用土を使うことが挙げられています。購入直後は葉裏と株元をよく確認し、問題がなければ本来の置き場所へ移してください。

刃物の使い回しも見落としがちな感染経路。剪定や株分けで何株も続けて作業するときは、株を替えるたびにハサミをアルコールで拭くこと。これだけで細菌の持ち回りはかなり防げる。
よくある失敗例
虫を見つけてすぐ薬をまく
1〜数鉢の室内管理では、洗い流す・こすり落とすほうが速く確実です。薬剤は複数回の散布が前提で、室内では使用場所も限られます。まず物理除去から始めてください。
1回散布して終わりにする
ハダニもカイガラムシも卵には薬が効きません。5〜7日間隔で複数回が前提です。1回で終えると、孵化した世代が元の密度まで戻ります。
腐敗臭のする株を他の鉢の隣に戻す
細菌は水の跳ね返りや刃物で広がります。臭いに気づいた時点で隔離してください。「もう少し様子を見る」が最もよくない判断です。
葉の斑点をすべて「病気」と判断する
直射日光による葉焼け、低温障害、肥料焼けも斑点状に出ます。最近置き場所を変えなかったか、冷え込んだ日はなかったかを先に確認してください。
コバエ対策に殺虫剤を繰り返す
発生源は用土です。薬で成虫を減らしても、土が湿ったままなら次の世代が出ます。アグラオネマの土おすすめと配合レシピを参考に、排水性のある用土に替えるほうが根本的です。
よくある質問
葉水はしたほうがいいですか?
ハダニ予防としては有効です。ただし朝のうちに済ませ、夜に水滴が残らないようにしてください。濡れた状態が長く続くと、今度は病気側のリスクが上がります。
牛乳や石けん水を自作して使ってもいいですか?
農薬取締法上、効果を期待して散布する自家調製の資材には注意が必要です。また、石けんや牛乳は葉面に残って汚れやカビの原因になります。気門封鎖型の登録製品(カダンセーフ、アーリーセーフスプレーなど)を使うほうが安全で確実です。
室内で殺虫剤を使っても大丈夫ですか?
製品ラベルに屋内使用の可否と注意事項が記載されています。原則として換気できる場所か屋外・ベランダで処理し、乾いてから室内に戻すのが安全です。ペットや小さな子どもがいる家庭では特に注意してください。
害虫が見当たらないのに葉が傷みます
環境要因を疑ってください。アグラオネマで多いのは、エアコンの風による葉先の枯れ込み、直射日光による葉焼け、冬の低温障害(10℃以下)の3つです。管理の基準値はアグラオネマの育て方にまとめています。
まとめ
- 「虫がいるか」「腐敗臭があるか」の2点で、害虫・細菌性・環境要因の3つに切り分けられる
- 最も多いのは冬のハダニ。湿度管理と洗い流しが基本で、薬は補助
- カイガラムシは物理除去が基本。花き類・観葉植物に登録のある家庭向け製品はカイガラムシエアゾールのみ
- Dickeya chrysanthemi による軟腐は薬剤散布が効きにくい。隔離と除去、水の跳ね返り防止で対応する
- 薬剤はラベルの適用表で「花き類・観葉植物」の行と対象病害虫名を必ず確認する
参考にした情報源
- 農林水産省 農薬登録情報提供システム(各製品の適用表を登録番号で確認) https://pesticide.maff.go.jp/(アクセス日: 2026-10-22)
- Nelson, S. "Bacterial Leaf Blight of Aglaonema", University of Hawaiʻi at Mānoa, CTAHR, Plant Disease PD-64, Jan. 2009 https://www.ctahr.hawaii.edu/oc/freepubs/pdf/pd-64.pdf(アクセス日: 2026-10-22)
この記事を書いた人

Masashi Matsubuchi / tokyoplants
tokyoplants オーナー
東京・世田谷を拠点とする希少観葉植物専門店「tokyoplants」オーナー。自ら海外へ足を運んで一点ずつ厳選した株を買い付け、年間800株以上を自身の手で育てて販売しています。
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